日産自動車の再建計画、その未来に迫ります。かつて「技術の日産」として世界を席巻した輝きを取り戻せるのか? 2025年3月期第3四半期決算で示された800億円の純損失予想、そして同時に発表されたターンアラウンド戦略。本稿では、日産の現状と未来への展望を深く掘り下げ、新生「技術の日産」の可能性を探ります。
岐路に立つ日産:4000億円コスト削減への挑戦
日産は、2026年度までに固定費と変動費合わせて4000億円ものコスト削減を目標に掲げています。これは、損益分岐点を250万台まで引き下げ、営業利益率4%の安定確保を目指すための、まさに背水の陣と言えるでしょう。
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この大胆な計画の要となるのが、グローバル生産能力の縮小です。世界的な需要低迷と激化する競争環境の中、日産は生産能力を500万台から400万台に削減する方針です。既に中国で50万台の削減を実施し、タイ工場の閉鎖も決定。アルゼンチン工場、そしてメルセデスベンツと共同運営するメキシコのコンパス工場の閉鎖も現実味を帯びています。
こうした生産拠点の縮小は、選択と集中を体現するものです。自動車業界アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「痛みを伴う決断ではあるものの、生き残りをかけた戦略転換として必然的な選択と言えるでしょう」と指摘します。
生産縮小と市場選択:未来への布石
グローバル戦略の見直しも、日産の未来を左右する重要な要素です。新興国市場からの撤退、そして日本と欧州市場への注力は、収益性の向上に不可欠です。
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日産は、軽自動車、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)に焦点を絞り、次世代リーフやコンパクトEVなど、市場のニーズを捉えた新型車を投入予定です。特にEV市場において、テスラやBYDといった強力なライバルに打ち勝つ戦略が、「シン・技術の日産」復活の鍵を握ると言っても過言ではありません。 自動車ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「日産には、e-POWERをはじめとする独自の電動化技術があります。これらを活かし、競合との差別化を図ることが重要です」と語っています。
「シン・技術の日産」への期待
厳しい状況に立たされている日産ですが、その再建への道筋は明確になりつつあります。4000億円のコスト削減、生産拠点の再編、そして市場戦略の見直し。これらの施策が成功すれば、「技術の日産」の復活も夢ではないでしょう。今後の日産の動向に、世界中の注目が集まっています。