ウクライナでは、2024年3月6日から8日にかけて、ロシア軍によるミサイルやドローン攻撃が各地のエネルギー施設などを標的に激化し、少なくとも14人の尊い命が奪われるという痛ましい事態が発生しました。この攻撃激化の背景には、米国の軍事支援や情報共有の一時停止が影響している可能性が指摘されています。
ゼレンスキー大統領の停戦提案直後に攻撃激化
ゼレンスキー大統領は、3月6日にブリュッセルで開催されたEU首脳会議で、平和実現のための「必要なステップ」として、エネルギー施設への攻撃を含む空と海での部分的な戦闘停止を提案しました。ロシア側の反応を確認するための提案だと説明し、欧州首脳への支持を訴えていました。しかし、その直後から攻撃が激化するという皮肉な結果となってしまいました。
東部ドネツク州で集合住宅に弾道ミサイル、11人死亡
ロイター通信などによると、ウクライナ内務省は3月8日、東部ドネツク州ドブロピリアで複数の集合住宅に弾道ミサイルなどが着弾し、少なくとも11人が死亡したと発表しました。
ウクライナ東部ドネツク州ドブロピリアでロシア軍の攻撃を受けた住宅の消火活動
東部ハリコフ州ではドローン攻撃で3人死亡
また、東部ハリコフ州でもドローン攻撃により3人が犠牲となりました。
エネルギー施設への攻撃でガス供給に影響
地元メディアによると、中部ポルタバにあるウクライナ最大のエネルギー企業DTEKのガス生産施設が攻撃を受け、操業停止に追い込まれました。西部テルノピリでもガス供給に影響が出ていると報じられています。これらの攻撃は、市民生活への深刻な影響を与えるだけでなく、ウクライナのインフラ基盤を破壊し、経済的な打撃を与えることを目的としたものと見られています。
米国の情報共有停止が被害拡大に繋がる可能性
米政府は3月5日、ウクライナへの機密情報の共有を停止したと発表しました。米シンクタンク「戦争研究所」によると、共有されていた情報にはロシアのミサイル発射に関する早期警戒システムの情報も含まれており、この停止により市民の被害が拡大する恐れがあると指摘されています。
ウクライナ軍の越境攻撃、ロシア軍が防衛線突破か
一方、ウクライナのメディアは3月7日、ロシア西部クルスク州でウクライナ軍が越境攻撃を行い、掌握していた主要集落スジャ近郊でロシア軍が防衛線を突破したと伝えました。ウクライナ軍の一部を包囲しつつあるとの情報もあります。ウクライナ軍は2023年8月に越境攻撃を開始し、一時1300平方キロメートル以上を占領しましたが、2024年1月時点でロシア軍はウクライナが占領した地域の6割を奪還したと主張しています。
今後のウクライナ情勢に更なる懸念
今回の攻撃激化は、ウクライナ紛争の更なる泥沼化を予感させます。国際社会は、一刻も早い停戦実現に向けて、より積極的な外交努力を展開する必要に迫られています。