韓国政府は8月、日本に対しGSOMIAを終了するとの決定を正式に通告した。安全保障上、信頼できないとの理由で韓国に対し輸出規制を強化した日本とは敏感な軍事情報を共有するGSOMIAを維持できないとの理由からだった。
韓国はGSOMIA終了決定が韓日対立の構図を揺るがすことを期待したとみられる。日本が、強制徴用被害者への賠償を日本企業に命じた韓国大法院(最高裁)の判決に激しく反発し、輸出規制措置に乗り出した状況の中で、米国が敏感に捉えている問題に触れ、積極的な介入を誘導しようという考えだったとの見方が多い。GSOMIA終了決定から失効までの90日間、GSOMIAを韓米日の安保協力の象徴と認識している米国がより積極的な役割を果たすのではないかという期待だった。
しかし、状況は思い通りにはならなかった。米国は韓国に対し「GSOMIAが維持されるべきだ」と圧力を加えながらも、韓日間の対立は両国が解決すべき問題だとして積極的な介入は難しいとの立場を維持した。
日本側の態度にも変化はみられない。韓国は、日本が輸出規制を撤回すればGSOMIA終了決定を再検討できるという立場だが、日本は応じる考えが全くないようだ。菅義偉官房長官は6日の記者会見で、輸出規制強化の撤回とGSOMIA終了決定の見直しは全く次元の異なる問題で受け入れられないと拒否した。
日本側が頑として態度を変えないため、韓国政府も原則を強調するほかない。青瓦台(大統領府)関係者は8日、記者団に対し「日本の輸出規制の原因は(韓国を)信頼できないというものだった。それにより最も重要な安保事項を共有するGSOMIAを維持することがわれわれとしては容易ではなかった」と述べた。その上で、「GSOMIA終了決定の立場に変化はない」とした。
康京和(カン・ギョンファ)外交部長官も8日の国会予算決算特別委員会の全体会議でGSOMIA終了について、「基本前提となるべき日本側の輸出規制措置撤回がまだなされていない状況のため、われわれの立場を堅持している」と述べた。
政府当局者は10日、「日本が全く変化していないのにわれわれが(前と)違う立場を示すのは国内的に受け入れられない状況だ」と述べた。
残り時間は少ないが、韓米日は最後までGSOMIA終了を巡り激しい外交戦を展開するとみられる。
韓国に対する米国の圧力も続くとみられる。韓米関係に詳しいある専門家は「米国としては韓米日の安保協力が重要だが、韓国がロシアとも結んだGSOMIAを日本とは維持できないと主張するのは困るという立場だ」と指摘した。
今週韓国を訪れるエスパー米国防長官のメッセージも注目される。エスパー氏は15日にソウルで開かれる韓米定例安保協議(SCM)に出席する。GSOMIA終了を1週間後に控えての訪韓であるため、解決策の模索に向けた両国高官による協議が行われることもあり得る。
また、康長官が名古屋で22~23日に開かれる20カ国・地域(G20)外相会合に出席する場合は、事態の打開を試みる可能性もある。
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