任期満了に伴う福島県大熊町長選が10日投開票され、無所属新人の前副町長、吉田淳氏(63)が、無所属新人の元町議会議長、鈴木光一氏(64)を破り初当選した。
同町は今年4月、福島第1原発の立地町として初めて一部で避難指示が解除。しかし、町外避難者が町民の99%に上るため、両陣営はいわき市や郡山市など「大票田」での運動を余儀なくされる異例の選挙戦となった。
投票率は53・00%で過去最低。得票数は吉田氏が3549票、鈴木氏が863票だった。
吉田氏は、町内の選挙事務所で記者団に「町に戻る人だけでなく、戻らない人や新たに入って来る人と協力して町を再生したい」と抱負を述べた。
吉田氏は同町出身で、昭和54年に大熊町役場に入った。総務課長などを経て平成28年から副町長を務め、引退を表明した渡辺利綱町長(72)を支えた。自宅は帰還困難区域にあるため、現在はいわき市に避難している。