トランプ前大統領、再び韓国半導体産業に圧力?TSMC巨額投資を背景に

米国半導体産業の復活を掲げるトランプ前大統領が、再び韓国の半導体産業に圧力をかけている。ホワイトハウスでの記者会見で、台湾TSMCの躍進を称賛する一方で、韓国の存在感を軽視する発言を行い、物議を醸している。この発言の真意はどこにあるのか、そして世界半導体市場への影響は?

トランプ氏の真意とは?韓国への牽制とTSMCへの期待

トランプ氏は「米国は半導体産業を失い、台湾がそれを盗んでいった」と発言。韓国についても一部言及したものの、TSMCへの期待を露骨に示した。これは今年2度目の発言であり、先月にも同様の主張をしている。

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世宗大学経営学科のキム・デジョン教授(仮名)は、この発言の背景には、海外企業による米国への更なる投資促進と雇用創出の思惑があると分析する。「TSMCには発表済みの巨額投資計画を維持するよう圧力をかけつつ、韓国にも追加投資を迫る狙いがある」と指摘する。

TSMCの圧倒的優位とサムスン電子の苦境

TSMCはファウンドリ市場で圧倒的な世界シェアを誇り、市場調査会社トレンドフォースによると、2023年10-12月期のシェアは67.1%に達する。一方、サムスン電子は8.2%と大きく水をあけられている。

トランプ氏はTSMCを主要ターゲットとしながらも、韓国にも言及することで、韓国企業に対米投資拡大を迫る口実としているとみられる。TSMCの魏哲家会長は、米国での投資拡大は顧客からの需要増に対応するためと説明している。

米国半導体産業の復活と世界市場への影響

バイデン政権に続き、トランプ氏も半導体産業育成に注力しており、米国の生産シェアは急速に高まると予想される。トレンドフォースは、TSMCの投資計画の影響で、米国の先端半導体生産シェアは2021年の11%から2030年には22%に増加すると予測。一方で、台湾は71%から58%に、韓国は12%から7%に減少すると見ている。日本経済新聞も同様の予測をしており、1990年には37%だった米国の世界生産シェアは、2025年以降は上昇に転じるとの見方を示している。

TSMCの米国での工場が増加することで、サムスン電子との受注競争は激化が予想される。

まとめ:世界半導体市場の再編は加速するのか?

トランプ前大統領の発言は、米中対立を背景とした世界的な半導体サプライチェーン再編の動きを加速させる可能性がある。今後の動向に注目が集まる。