ルーマニアの次期大統領を決める選挙を巡り、波乱が続いています。極右政治家として知られるカリン・ジョルジェスク氏の出馬が中央選管に認められず、国内外に大きな波紋を広げています。ジョルジェスク氏は、昨年11月に行われた大統領選で第1回投票を首位で通過したものの、SNSを通じた世論操作疑惑により選挙が無効となり、5月に再選挙が実施されることになっていました。今回は、出馬そのものが認められないという異例の事態となっています。
ジョルジェスク氏出馬却下の背景
ジョルジェスク氏はNATOへの懐疑的な姿勢やプーチン大統領への称賛など、その過激な言動で物議を醸してきました。中央選管は、これらの言動が過激思想を禁じた法律に抵触すると判断し、出馬を却下しました。
カリン・ジョルジェスク氏
ジョルジェスク氏は、以前TikTokで乗馬姿を披露するなど、SNSを駆使した発信で若者を中心に支持を集めてきました。しかし、昨年11月の大統領選では、TikTokなどで彼に有利な情報が人為的に拡散された疑惑が浮上し、ロシアの関与も疑われています。
国際社会の反応と今後の展開
ジョルジェスク氏出馬却下に対し、米トランプ前政権は批判的な立場を示しています。前副大統領マイク・ペンス氏は、この決定は「表現の自由」への侵害だと主張し、ジョルジェスク氏への支持を表明しています。ウクライナ情勢を巡り既に緊張が高まっている欧米関係ですが、今回のルーマニア大統領選を巡る混乱により、更なる亀裂が生じる可能性も懸念されています。
ジョルジェスク氏自身は、X(旧Twitter)で「欧州は独裁制となり、ルーマニアは圧政下にある」と訴え、決定への不服を表明しています。イーロン・マスク氏もXで中央選管の決定を「クレージーだ」と批判しており、波紋は更に広がりを見せています。
憲法裁判所の判断に注目
フィナンシャル・タイムズによると、ジョルジェスク氏が中央選管の決定に異議を申し立てた場合、憲法裁判所が12日までに最終判断を下すことになります。今後のルーマニア政局を占う上で、憲法裁判所の判断は極めて重要となるでしょう。
まとめ:混迷深まるルーマニア大統領選
ジョルジェスク氏出馬却下という異例の事態により、ルーマニア大統領選は更に混迷を深めています。国内世論調査では4割の高い支持率を誇るジョルジェスク氏の動向、そして憲法裁判所の判断が今後のルーマニア政局を大きく左右することになりそうです。今後の展開に引き続き注目が集まります。