フィッシング詐欺急増、9月は前月比4倍


 大手金融機関を装い、偽サイトに誘導して個人情報を盗むフィッシング詐欺の被害が急増している。警察庁によると、盗まれた情報でインターネットバンキングの口座から預金が不正送金される被害が9月は436件と前月比4倍になり、平成24年の統計開始から最多となった。10月の消費税率引き上げに伴う手数料の改定をかたる偽メールを用いた手口も増税前に急増しており、各金融機関が注意を呼びかけている。

 フィッシング詐欺は、有名企業になりすましてメールやメッセージを送信して、偽サイトに誘導することで、アカウントのIDやパスワードなどの個人情報を盗む手口が一般的だ。こうした不正アクセスを防止するため、IDやパスワード入力のほか、携帯電話や電子メールなどに送るセキュリティーコードの入力を追加する「2段階認証」の導入が増えている。

 しかし、最近は本物とほとんど見分けがつかないメールやサイトを駆使して、情報を盗み出す手口が巧妙化しており、2段階認証が破られるケースが続出。今年5月以降、携帯電話のショートメールで大手銀行を装ったメッセージを送りつけて偽サイトに誘導するフィッシング詐欺が相次いでいるという。

 被害拡大を受けて、大手銀行は対応を急いでいる。ネットで不正送金される被害が9月に前月の約10倍に増えたという三井住友銀行は、10月からインターネットバンキングで送金できる1日当たりの上限額を100万円から50万円に引き下げた。今月7日からは、一部の送金内容を数分から数十分確認する作業を設けて監視機能を強化。同行は「銀行がメールやメッセージで個人情報やパスワードを尋ねることはない」と注意喚起しており、各行もホームページ上などで同様に呼びかけている。

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