大植被告「もう疲れました」 逃走58時間足取りは…



護送車から逃走した男が引き渡されたとみられる岸和田拘置支所=11日午後3時36分、大阪府岸和田市(鳥越瑞絵撮影)

 「もう疲れました」。大阪府東大阪市で、護送中のワゴン車から逃走した大(おお)植(うえ)良太郎被告(42)は11日に身柄を確保された際、捜査員にこう漏らしたという。9日未明の逃走から58時間。大植被告は知人の手助けを受けながら、隣接する大阪市内を逃げ回っていたとみられ、捜査当局は詳しい足取りを調べている。

 11日午後1時半すぎ、大阪市淀川区内の路上で、1人で歩いている男を大阪府警の捜査員が発見。大植被告に似ていると感じ、追跡して声をかけた。

 「大植か」との問いに男は「そうです。疲れました」と素直に返答した。変装だったのか帽子にサングラス、マスク姿で、手錠や腰縄は付いていなかった。

 大植被告が東大阪市で逃走したのは9日午前4時ごろ。はだしで、所持品はなく、右手の手錠と腰縄が付いた状態だった。

 保釈が取り消されていた大植被告はこの直前、同市内の関係先にいるところを警察官に発見された。4月に覚せい剤取締法違反容疑で府警に逮捕された際の住所は同府岸和田市。当初は、この両市内に土地勘があるとの見方もあった。

 しかし、護送車から逃走した大植被告が向かったのは、大阪市住吉区内にある知人の荻野侯昇(こうしょう)容疑者(37)=犯人蔵匿容疑で逮捕=が借りる民家。9日昼ごろから夜まで民家に潜伏した後、荻野容疑者のワゴン車に同乗し、同市西区内の荻野容疑者が借りる別のマンションに向かい、一夜を明かしたという。

 翌10日に再び住吉区内に戻り、民家近くのコインパーキングにワゴン車を止めているところを捜査員に見つかった。発見時、荻野容疑者は外におり、車内にいた大植被告とみられる男が車を急発進。猛スピードで同市内の阪神高速などを逃走し、約1時間後に行方が分からなくなった。

 府警は残された荻野容疑者を任意同行し、事情聴取。大植被告は以前、パチンコ台を作っており、荻野容疑者はそれを売っていたという関係であることなどが分かった。

 一方、10日午後2時半ごろ、同市北区内でワゴン車が放置されているのが見つかり、府警は同区や隣接する同市淀川区を集中的に捜索。11日午後、両区にまたがる十(じゅう)三(そう)大橋の上で大植被告を確保した。

 周辺住民らによると、パトカーがサイレンを鳴らして次々と駆けつけ、現場は騒然とした雰囲気に包まれた。女性会社員(42)は「まさか逃走犯がこんなところまで来ているとは。無事に捕まってよかったが、子供が多い時間だととても危険だったと思う。検察には二度と同じことが起こらないようにしてほしい」と話した。



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