香港経済の停滞:消費流出が止まらない!物価高騰で市民は海外へ

香港経済の現状は深刻です。新型コロナウイルス禍の収束後、消費の流出が止まらず、小売店や飲食店の閉店が相次いでいます。本記事では、香港市民の消費動向の変化とその背景にある経済問題について詳しく解説します。

物価高騰で深センや日本へ買い物客が流出

香港の物価高騰は深刻な問題となっています。特に不動産価格は世界トップレベルで、外食や日用品も中国本土より高額です。このため、多くの香港市民がより安い商品を求めて中国本土の深センや日本へ買い物に出かけています。

深センに近い香港最北部の市場の様子。多くの店が閉店や休業している。深センに近い香港最北部の市場の様子。多くの店が閉店や休業している。

香港メディア「香港01」によると、2024年には8191万人の香港人が中国本土を訪れ、557億香港ドル(約1兆1千億円)を消費しました。深センの市場では、春節前にも関わらず買い物客はまばらで、閉店した店舗が目立ちます。鮮魚店の店員は「みんな深圳に買い物に行くから仕方ない。大陸の方が安いから」と嘆いています。

日本への旅行ブームも物価高が原因

日本への旅行も活況を呈しています。2024年には約268万人の香港人が訪日し、過去最高を更新しました。これは香港の人口の約3分の1に相当します。日本の観光庁によると、訪日客の国・地域別では香港は4位、旅行消費額は6584億円に上りました。

香港で働く20代の女性は「香港ですしを食べると1人数万円もかかる。日本だと、数千円で本場のすしが食べられる」と語り、日本旅行の魅力を価格の安さに求めています。彼女のように、普段は倹約して日本旅行を楽しむ香港市民が増えています。

香港経済の低迷と政府の対応

香港の2024年のGDP成長率は2.5%で、前年の3.2%から減速しました。不況で税収も伸び悩み、香港政府は公務員のポストを2027年までに約1万人分削減することを決定しました。

一国二制度の形骸化が経済の重しに

全人代で李強首相は「香港が国家発展の大局に一層溶け込むことを後押しする」と強調しました。しかし、「一国二制度」の形骸化は外資系企業の撤退や富裕層、高度人材の海外流出を招き、経済の重しとなっています。

香港中心部の商業施設では、ドラッグストアチェーン「華潤堂」が閉店し、空き店舗となっています。近くで働く40代女性は「便利だったので残念だが、香港は景気が悪いので仕方ない」と語っています。香港メディアによると、2024年8月時点で香港に25店舗あった「華潤堂」は、同11月に全店舗を閉鎖しました。売り上げ不振が原因です。

まとめ

香港経済は深刻な状況に直面しています。物価高騰による消費の流出、小売店や飲食店の閉店、そして政府の緊縮財政。これらの問題は複雑に絡み合い、香港経済の将来に暗い影を落としています。香港政府は、経済の活性化と市民生活の安定のために、効果的な対策を講じる必要があります。