北朝鮮の貨物船が中国船舶と衝突し、西海(黄海)で沈没したとみられる事故が発生しました。船員20名近くが死亡したこの事故、背景には北朝鮮による石炭の密輸が関係している可能性が浮上しています。jp24h.comでは、この事件の真相に迫ります。
濃霧の海での悲劇、AISを消した航行が原因か
先月末、西海(黄海)で北朝鮮の貨物船が中国船舶と衝突、沈没するという事故が発生しました。複数の情報筋によると、北朝鮮の貨物船は船舶自動識別装置(AIS)をオフにした状態で航行していたとのこと。濃霧の中、AISをオフにしていたことが事故の大きな要因になったと推測されています。
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中国当局が主導で行われた救助活動により、一部の船員は救助されましたが、15~20名もの北朝鮮船員が死亡したとされています。中国側の被害は軽微だった模様です。
石炭密輸の疑い、北朝鮮と中国の沈黙
事故現場は、北朝鮮の貨物船が石炭の密輸に頻繁に利用する海域であることが指摘されています。北朝鮮による石炭輸出は国連安全保障理事会の制裁決議に違反するため、AISをオフにして航行していた可能性が高いとみられています。
事故発生当時、貨物船には石炭が過積載されていたという情報もあり、沈没した貨物も石炭であった可能性が濃厚です。 しかし、北朝鮮だけでなく中国当局もこの事故について公式に発表しておらず、その沈黙が憶測を呼んでいます。
制裁違反の発覚を恐れての隠蔽工作か
北朝鮮にとって制裁違反の発覚は大きな痛手となります。また、中国にとっても、制裁違反を黙認していたことが明るみに出れば国際的な非難を浴びかねません。両国にとってこの事故は不都合な真実であり、隠蔽工作が行われている可能性が指摘されています。
専門家の中には、「中国は北朝鮮からの石炭輸入に依然として高い需要があり、取り締まりには限界がある」と指摘する声も上がっています。統一研究院のホン・ジェファン研究委員は「中国は状況に応じて取り締まりの強度を調整しているが、西海での密輸を完全に取り締まることは現実的に難しい」と分析しています。
過去の類似事故、AISオフの危険性
実は、過去にも同様の事故が発生しています。2017年3月、AISをオフにしていた北朝鮮の貨物船が中国船と衝突し沈没するという事故が発生しました。幸いにもこの時は全員救助されましたが、今回の事故はより深刻な結果となりました。
これらの事故は、AISをオフにして航行することの危険性を改めて浮き彫りにしています。国際的な制裁を逃れるためとはいえ、人命に関わる危険な行為は決して許されるものではありません。
今後の展開と国際社会の対応
今回の事故は、北朝鮮の制裁違反の実態を改めて示すものとなりました。国際社会は、北朝鮮への制裁の厳格な履行を改めて確認し、更なる密輸防止策を強化する必要があります。 また、中国政府の対応にも注目が集まります。 真相究明と再発防止に向け、国際社会が協力して取り組むことが重要です。