【米国関税強化】韓国中小企業の輸出に暗雲、鉄鋼・アルミ業界の苦悩と活路

米国による鉄鋼・アルミニウムへの25%関税強化は、韓国の輸出中小企業にとって大きな痛手となっています。2018年から適用されていた韓国製鉄鋼の年間263万トンの免税枠は撤廃され、ボルト、ナット、自動車部品、家電部品など253品目の派生製品にも新たに課税対象が拡大されました。この状況は、韓国経済、特に中小企業の将来に暗い影を落としています。

米国関税強化の波紋:中小企業の悲鳴

韓国中小ベンチャー企業部と中小企業中央会が開催した「輸出中小企業現場懇談会」では、中小企業経営者たちの不安の声が相次ぎました。例えば、GJアルミニウムのユ・ギョンヨン代表は、年間500万ドル規模のエアコン部品などの輸出契約交渉が、関税強化の発表を受けて暗礁に乗り上げてしまったと訴えています。 エアコンや熱交換器、変圧器など、幅広い製品に使われるアルミニウム部品の輸出に大きな影響が出ているのです。

エアコン部品エアコン部品

原産地規定の強化:さらなる逆風

米国政府は、中国製鉄鋼製品の第三国経由での流入を防ぐため、原産地規定の強化にも乗り出しました。 銑鉄から粗鋼を作る過程からの原産地基準の厳格な適用は、韓国企業にとって大きな負担となります。 安価な中国産原材料の使用ができなくなることで、原価上昇は避けられず、国際競争力の低下が懸念されています。 シンジンファスナー工業のチョン・ハンソン代表は、「世界で最も安い原材料で製品を作ることで競争力を維持してきた」と語り、現状への危機感を露わにしました。 ボルトやナットなどの産業用ファスナーは、様々な製品に不可欠な部品であり、その影響は広範囲に及ぶと考えられます。

ボルトとナットボルトとナット

韓国政府の対応と今後の展望

韓国中小ベンチャー企業部の呉姈姝長官は、関税の影響を受けた輸出中小企業の経営正常化と輸出先の多角化に向けた支援を表明しました。 また、産業通商資源部の鄭仁教通商交渉本部長は米国を訪問し、米通商代表部(USTR)関係者との協議を行う予定です。

韓国鉄鋼業界の専門家、パク・チョルス氏(仮名)は、「今回の関税強化は、韓国経済にとって大きな試練となるだろう。しかし、これを機に、国内産業の構造改革や新技術開発、そしてASEANなどへの輸出市場の多角化を加速させる必要がある」と指摘しています。

打開策はどこに?

関税強化の影響を最小限に抑え、新たな活路を見出すためには、企業努力だけでなく、政府による積極的な支援策が不可欠です。 中小企業への資金援助、技術開発支援、そして新たな輸出市場の開拓など、多角的なアプローチが求められています。 同時に、米国との通商交渉を通じて、関税緩和や撤廃に向けた働きかけを強化していくことも重要です。

まとめ:逆境を乗り越えるために

米国関税強化は、韓国の中小企業にとって大きな試練ですが、同時に新たな成長のチャンスでもあります。 関係者間の緊密な連携と戦略的な取り組みによって、この難局を乗り越え、持続可能な発展を実現していくことが期待されます。 今後の動向に注目が集まっています。