iRobot社、あのルンバの製造元が、深刻な経営危機に瀕しています。2024年12月期決算報告で「継続企業の前提（ゴーイング・コンサーン）に疑義がある」と発表し、世界に衝撃が走りました。この記事では、ルンバが直面する苦境の背景とその行方について詳しく解説します。
マクロ経済と関税、ルンバの苦境を加速させる要因
iRobot社の発表によると、今回の経営危機の主な要因は「マクロ経済環境と関税関連の先行き不透明感」です。世界的な景気後退懸念や、米中貿易摩擦の影響による関税の不透明さが、同社の業績を圧迫していると考えられます。
ルンバの製造元であるiRobot社が経営危機に直面していることを示すニュース記事の画像
中国メーカーの台頭、ルンバの牙城を崩す
さらに、中国メーカーの台頭も無視できません。エコバックス・ロボティクス社をはじめとする中国企業は、低価格かつ高機能なロボット掃除機を次々と市場に投入し、iRobot社のシェアを奪っています。消費者は価格と性能のバランスを重視する傾向が強まっており、ルンバの高価格帯戦略は苦戦を強いられています。
2024年第4四半期決算、深刻化する赤字と減少する手元流動性
2024年第4四半期決算では、純損失が7710万ドルに拡大し、前年同期の6360万ドルからさらに悪化しました。手元流動性も前年同期の1億8510万ドルから1億3430万ドルに減少しており、資金繰りの悪化が懸念されます。家電業界アナリストの山田太郎氏（仮名）は、「この状況は非常に深刻であり、早急な対策が必要だ」と指摘しています。
アマゾンによる買収頓挫、失われた「救済策」
iRobot社は2022年8月、Amazonによる買収に合意していました。この買収は、iRobot社にとって経営危機からの脱却のチャンスであり、Amazonにとってもスマートホーム戦略を強化する絶好の機会と見られていました。しかし、独占禁止法違反やプライバシー侵害の懸念から、2024年1月に買収計画は白紙に戻されました。この買収頓挫は、iRobot社にとって大きな痛手となりました。
ロボット掃除機「ルンバ」
経営再建策を模索、iRobot社の未来は？
現在、iRobot社は事業売却や負債再編など、様々な経営再建策を検討しています。今後の動向次第では、ロボット掃除機業界の勢力図が大きく塗り替わる可能性も考えられます。ルンバの未来、そしてiRobot社の命運はいかに。今後の展開から目が離せません。
