石破茂首相が今月3日に首相公邸で開いた自民党衆院1期生との会食に際し、首相事務所が土産を名目に1期生側に1人10万円分の商品券を配っていたことが13日、判明した。首相側は違法性はないとしているが、政治資金規正法に抵触する可能性はないのか。政治資金問題に詳しい岩井奉信・日大名誉教授に聞いた。
――石破首相側が、新人議員に10万円ずつ商品券を渡したことは政治資金規正法に抵触しませんか。
◆商品券の原資が何なのかによって変わります。仮に官房機密費であれば、使途に関する規定がないので、(法的には)問題がなくなります。過去には選挙応援や、議員の海外出張時の餞別(せんべつ)などに使われています。
一方で、今回は形式的に見ると、政治家個人への寄付を禁じた政治資金規正法に違反する可能性はあります。
仮に、今回の商品券が石破首相の政治団体から、相手側の政治団体に入り、収支報告がなされていれば問題はないことになります。ただし、収支報告書が提出されるのは11月以降になりますので、今の段階で(適正に)処理しているのか、処理していないのかは分かりません。
外形的に見ると政治家個人に渡しているので、違法性を疑われてもしかたがないのではないでしょうか。10万円というのは、社会通念的に土産として通用する話ではありません。
やはり政治資金規正法上の処理がなされなければならないだろうと思います。
――国民の感覚と乖離(かいり)しているのでしょうか。
◆2000~3000円であれば土産として問題にならないでしょうが、10万円の商品券ですからね。今、自民党で裏金が問題になっているときに疑われかねないものを渡すということ自体、感覚を疑われると思います。【安部志帆子】