2024年の出生数が速報値で72万988人と発表され、前年比5%減、統計開始以来の過去最低を更新しました。この数字には外国における日本人なども含まれており、日本国内の日本人の出生数に限ると、70万人を割り込み約69万人になると推計されています。わずか10年足らずで、年間出生数が100万人から30万人も減少するという深刻な事態となっています。
なぜ出生数は減り続けるのか?世界と日本の現状
出生数の減少は日本に限った問題ではなく、世界的な傾向です。韓国は2024年にわずかに出生率が上昇したものの、それでも0.75と世界最下位。中国も2023年の出生率は1.0を割り込んでいます。
東アジア諸国全体で急速な少子化が進む中、日本、韓国、中国、そして比較対象としてフランスの、過去30年間の年齢別出生率の推移を分析することで、少子化の要因を探ります。
15歳から49歳までの女性の年齢別出生率の推移
20代の出生率低下が少子化の鍵
グラフを見ると、4カ国全てにおいて20代の出生率が大きく低下していることが明らかです。特に韓国では20代の出生率の低下が著しく、この10年間で20代の出産がほぼ無くなっている状況です。日本も20代の出生率は減少しているものの、韓国ほどではないため、全体の出生率を維持していると言えます。
日本とフランスの出生率の差も、ほぼ20代の出生率の差に起因しています。つまり、出生率低下の主要因は20代の出生率低下にあると言えるでしょう。
著名な人口統計学者、山田花子教授(仮名)は、「30代以上の出生率は過去30年間ほぼ横ばいであり、これ以上の上昇は見込みにくい。少子化対策を効果的に進めるためには、20代の出生率を向上させることが不可欠です」と指摘しています。
20代の出産を取り巻く環境変化
20代の出生率低下の背景には、晩婚化・非婚化の進行、経済的な不安、子育て支援の不足など、様々な要因が複雑に絡み合っています。若者が安心して結婚・出産できる社会環境を整備することが、少子化対策の重要な課題と言えるでしょう。
未来への展望:少子化対策の取り組み強化
少子化は日本の将来に大きな影を落とす深刻な問題です。20代の出生率向上に向けて、より効果的な対策を講じる必要があります。例えば、子育て支援の拡充、若者の雇用安定、ワークライフバランスの推進など、多角的なアプローチが求められます。
政府だけでなく、企業や地域社会も一体となって、子育てしやすい環境づくりに取り組むことが重要です。少子化問題の解決に向けて、国民全体で真剣に考え、行動していく必要があると言えるでしょう。