元原子力発電環境整備機構理事 河田東海夫氏「日本だけ批判のいわれなし」


 東京電力福島第1原発のタンク内の「処理水」の大半はそのまま放出できる状況にないが、処理水に含まれるトリチウム以外の放射性物質は、多核種除去設備(ALPS)や別の装置で再度浄化処理すれば除去できる。トリチウムは除去できないので、仮に海洋放出する場合は、基準濃度以下のレベルに希釈する。韓国を含め各国の原発も同じようにトリチウムを希釈して放出しており、日本だけが批判されるいわれはない。

 ちなみに韓国の主要な原発である月城原発は1999年10月以降、累積で6千兆ベクレル超のトリチウムを日本海に放出してきた。福島第1原発で貯留中のトリチウムの総量は約1千兆ベクレルだから、月城原発の累積放出量は6倍超となる。こうした事実を踏まえると、日本のトリチウムをめぐってあれこれ難癖をつける資格は韓国にはない。

 他方で、福島第1原発の6倍超のトリチウムを放出したからといって、韓国に目くじらを立てるのは間違いだ。月城原発のトリチウム放出も、被曝(ひばく)評価上、全く問題がない。それに対して抗議するのは、非科学的ないちゃもんであり、知性と品性のなさを自ら暴露するようなものだ。

 政府は、処理水を海洋放出すると決めた場合、韓国に「貴国と同様、国際基準に従って放出するので、心配はご無用。わが国は科学的に安全性を確認しているので、月城原発からのトリチウムの海洋放出を問題視したことはなかった」と伝えるべきだろう。(談)



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