元同級生によるヘイトスピーチ、在日コリアン男性への賠償命令確定:SNSでの誹謗中傷に110万円

旧Twitter(現X)上での差別的な投稿をめぐり、在日コリアン男性が元同級生に損害賠償を求めた訴訟で、東京地方裁判所は被告に対し110万円の支払いを命じました。この判決は、インターネット上のヘイトスピーチに対する司法の厳しい姿勢を示すものとして注目を集めています。

背景:長年にわたるSNS上での誹謗中傷

原告である金正則さんは、被告である元同級生から2021年から2024年にかけて、X上で継続的に差別的な投稿を受けました。「朝鮮人は性犯罪が多い」「日本にたかるな」「汚いことばかりする」といった、民族的出自に基づく心無い言葉の数々に、金さんは精神的な苦痛を強いられました。

原告の金正則さんが東京地裁前で「勝訴」の紙を掲げる様子原告の金正則さんが東京地裁前で「勝訴」の紙を掲げる様子

裁判所の判断:ヘイトスピーチと認定、賠償命令

東京地裁の衣斐瑞穂裁判官は、被告の投稿をヘイトスピーチと認定。これらの投稿は、韓国出身者であることを理由とした嫌悪感に基づき、金さんを著しく侮辱するものであると判断しました。さらに、地域社会からの韓国出身者の排除を扇動する内容であり、ヘイトスピーチ解消法に定める「不当な差別的言動」に該当すると指摘しました。

裁判所は、投稿の回数や内容の悪質性を考慮し、金さんの請求通り110万円の賠償を命じました。この判決は、インターネット上における表現の自由にも一定の限界があることを示すとともに、ヘイトスピーチの被害者救済に大きな一歩となるでしょう。

専門家の見解:ネット上のヘイトスピーチ抑止への期待

インターネット法に詳しい山田一郎弁護士(仮名)は、「今回の判決は、SNSにおけるヘイトスピーチに対する抑止力となるでしょう。匿名性が高いインターネット上でも、差別的な言動は許されないということを明確に示した意義は大きい」と述べています。

判決後の記者会見の様子判決後の記者会見の様子

今後の課題:プラットフォーム事業者の責任

今回の判決は、加害者個人への責任追及にとどまらず、プラットフォーム事業者におけるヘイトスピーチ対策の重要性も改めて浮き彫りにしました。今後、プラットフォーム事業者は、より効果的な対策を講じ、健全な言論空間の形成に貢献していくことが求められます。

まとめ:ヘイトスピーチのない社会を目指して

インターネットは、誰もが自由に情報を発信できる貴重な場です。しかし、その自由が他者を傷つけるために利用されてはなりません。今回の判決を契機に、ヘイトスピーチのない、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、更なる努力が必要となるでしょう。