フランスが誇るシャンパン業界に、暗雲が立ち込めています。アメリカのトランプ前大統領がヨーロッパ産アルコール飲料への200%関税賦課を示唆したことで、シャンパン生産者たちは業界全体の崩壊を危惧しています。今回は、この関税問題がシャンパン業界に及ぼす影響について詳しく解説します。
老舗シャンパンメゾン「デュバル・ルロワ」の危機
ランス近郊のブドウ畑で収穫の様子
フランス北東部、ランス近郊に位置する老舗シャンパンメゾン「デュバル・ルロワ」。ブドウ栽培から醸造まで一貫して手掛け、アメリカ、イギリス、そして日本を含む世界各国へ高品質なシャンパンを輸出しています。しかし、6代目経営者のジュリアン・デュバル=ルロワ氏は、トランプ前大統領の政策に強い懸念を抱いています。
「200%の関税など、想像もできません。シャンパン業界全体が壊滅的な打撃を受けるでしょう。」とデュバル=ルロワ氏は語ります。
ミシュラン三ツ星レストランもシャンパン危機に警鐘
関税問題の影響は、シャンパン生産者だけにとどまりません。高品質なシャンパンを提供する高級レストランも、大きな打撃を受けることが予想されます。
ある日、「デュバル・ルロワ」にはミシュラン三ツ星レストランのソムリエチームが訪れ、試飲を行っていました。彼らは口々に、ヨーロッパ、特にフランス産のワイン、とりわけシャンパンは、多くのワイン商やレストランにとって不可欠な存在だと訴えます。アメリカがこれらの輸入を制限すれば、アメリカ経済にも深刻な影響が出るとの見方を示しました。
輸出額1600億円市場の崩壊
フランスにとって、アメリカはシャンパン輸出額で世界1位を誇り、年間約10億ユーロ(約1600億円)にものぼります。もし200%の関税が実際に発動されれば、アメリカでのシャンパン価格は1本あたり約3倍に跳ね上がると予想されます。そのため、「デュバル・ルロワ」をはじめとするシャンパン生産者たちは、日本などアメリカ以外の市場への販路拡大を模索せざるを得ない状況に追い込まれています。
シャンパン以外の選択肢
シャンパンの価格高騰は、消費者の購買意欲を著しく低下させるでしょう。ワイン専門家の山田氏(仮名)は、「消費者が3倍の価格でシャンパンを購入するとは考えにくい。輸入から流通に至るシステム全体が崩壊する可能性がある」と指摘しています。
デュバル=ルロワ氏は、「当初ワインとは無関係だった話なのに、まるで人質に取られたような気分だ」と憤りを隠せません。
シャンパンの未来
シャンパンの製造工程
トランプ前大統領の政策は、シャンパン業界の未来に大きな影を落としています。高品質なシャンパンを世界に届けるため、生産者たちは新たな販路開拓や価格戦略など、様々な対策を講じなければなりません。今後の動向に注目が集まります。