アメリカへの入国審査が厳格化され、旅行者たちの不安が高まっている。携帯電話のメッセージ内容やSNSアカウントが調査対象となり、入国拒否や拘留されるケースも増加しているという。本記事では、その現状と背景、そして各国政府の対応について詳しく解説する。
厳格な入国審査の実態
トランプ前大統領の不法移民撲滅政策の影響を受け、アメリカ当局は入国審査を強化。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やニューヨークタイムズ(NYT)などの報道によると、携帯電話やSNSアカウントの検査が日常化している。フランスの科学者は、トランプ政権の科学政策に関する個人的なメッセージを同僚と交換したことで入国を拒否された。また、レバノン国籍のブラウン大学教授は、携帯電話にヒズボラの元指導者の写真が保存されていたため空港から追放されたという。
アメリカ国旗
電子機器検査の法的根拠
このような電子機器検査は、旅行者の権利侵害にあたるのではないかという指摘もある。しかし、米国土安全保障省傘下の関税国境警備局(CBP)は、テロや犯罪行為に対処するために必要だと主張。「国境を通過する電子機器を合法的に検査する権限は、デジタル化が加速する世界で米国の安全を守るために不可欠」と強調している。
入国審査強化の影響
入国審査官は攻撃的な質問を投げかけ、ビザの審査も厳格化。審査過程で拘留されるケースも大幅に増加している。カナダ人俳優のジャスミン・ムーニーさんは、新しい就労ビザを申請するためにアメリカに入国しようとした際、突然拘留され、10日間以上移民収容所に留置された。ムーニーさんは拘留理由の説明を受けないまま2カ所の収容所に移送され、メディアで報道された後に弁護士選任が許され、12日ぶりに釈放された。
各国政府の対応
厳格化した米国の入国審査に対し、各国政府は自国民に注意喚起を行っている。英国外務省はホームページで「米国当局は入国に関する規則を厳格に定め、施行している。規則を破った場合、逮捕や拘留される可能性がある」と警告。ドイツも米国旅行に関する勧告メッセージで、ビザや入国免除を受けていても入国が保証されるわけではないと強調している。
まとめ:アメリカ入国時の注意点
アメリカへの渡航を計画している方は、入国審査の厳格化を認識し、十分な準備をする必要がある。携帯電話やSNSアカウントの内容に注意し、入国審査官の質問には落ち着いて答えるように心がけよう。万が一、不当な扱いを受けた場合は、領事館や弁護士に相談することも検討すべきだ。米国への入国は、もはや容易ではなくなったことを改めて認識する必要がある。
専門家(国際法専門家 山田一郎氏)の意見によれば、「近年の国際情勢の不安定化とテロの脅威の高まりを背景に、各国の入国管理は厳格化の傾向にある。アメリカも例外ではなく、自国の安全保障を最優先していると言えるだろう。渡航者は、現地の法律や規則を遵守し、入国審査に協力することが重要だ。」とのことだ。