国民民主党・玉木代表と榛葉幹事長の「蓮舫氏への嘲笑」動画が炎上、党の「対決より解決」理念に問われる品格

国民民主党の玉木雄一郎代表(56)と榛葉賀津也幹事長(58)がYouTubeチャンネルで公開した動画が、SNS上で大きな波紋を呼んでいます。動画内で、二人が立憲民主党の蓮舫氏(57)について「黒歴史」と笑いながら語ったことが「女性蔑視」や「悪趣味」と批判され、蓮舫氏本人もこれに反応。さらに、党所属の小竹凱議員(27)が批判の声に反論したことで、議論は一層加熱しています。この一連の騒動は、「対決より解決」を掲げる国民民主党の理念と、政治家の発言のあり方を問うものとして注目されています。

国民民主党の「黒歴史」動画が波紋を呼ぶ背景

10月14日、自民党・公明党との三党幹事長会談を終えた後の記者会見で、国民民主党の榛葉賀津也幹事長が、記者からの質問を遮る一幕がありました。その質問は、現在SNS上で議論を巻き起こしている、同党の玉木雄一郎代表と共演したYouTube動画での「悪ノリ」に関する内容でした。

事の発端は、10月11日に玉木氏のYouTubeチャンネル「たまきチャンネル」で公開された動画です。この動画では、国民民主党の歴史を振り返る中で、榛葉氏が旧国民民主党時代には玉木氏と現在ほど親しくなかったというエピソードを披露。すると玉木氏は、旧国民民主党の前身である民進党時代に榛葉氏が蓮舫氏を応援していた過去を明かしました。玉木氏が「榛葉さんなんかはね、前の民進党の代表選挙なんか蓮舫さん応援してるからね」と発言すると、榛葉氏は「いひひひひ」「黒歴史、黒歴史だ」と爆笑。玉木氏も、「黒歴史、榛葉さんあんまりツッコミどころないんだけど、蓮舫さん応援してたんだよ」と、榛葉氏に便乗して笑い飛ばしました。

榛葉氏は2016年に蓮舫氏が当選した民進党代表選について、「あれはね、参議院(議員)はみんなして蓮舫さんを応援しようと。あの時、選挙終わったら衆議院行くって言ったから、じゃあ応援しようって」と当時の経緯を説明。しかし、蓮舫氏が結局衆院に鞍替えしなかったことに玉木氏が「戻ってきたね」と合いの手を入れると、榛葉氏は机を叩きながら「これオンエアできないでしょうが!大変なんだよ」と叫び、二人は再び爆笑しました。その後も、互いに蓮舫氏からSNSでブロックされていることを面白がるなど、二人は蓮舫氏がいない場で皮肉めいたトークで嬉々として盛り上がり続けました。

国民民主党の玉木雄一郎代表と榛葉賀津也幹事長がカメラの前で談笑する様子国民民主党の玉木雄一郎代表と榛葉賀津也幹事長がカメラの前で談笑する様子

世論と蓮舫氏の反応:SNSでの波紋

玉木氏と榛葉氏の動画でのやり取りに対し、SNSのX(旧Twitter)上では「女性蔑視」「悪趣味」「政治家としてあるまじき行為」といった批判の声が噴出しました。多くのユーザーが、公党の代表と幹事長が、他党の女性議員について、まるで陰口をたたくかのような態度で笑いながら語ることに不快感を示しました。

この批判に対し、蓮舫氏自身も10月13日にXを更新。《私は、SNSで他の政党の議員を笑いながら語ることはしません。政治は、批判よりも誠実な対話で変えていくものだと思います。特に今は。対話でしょう》と投稿。動画でのやり取りを直接名指しこそしなかったものの、玉木氏と榛葉氏の発言を念頭に置いたメッセージであることは明白であり、政治家としての対話の重要性を訴える形で、暗に苦言を呈しました。

小竹凱議員の擁護と、たかまつなな氏からの異論

こうした批判の声が広がる中で、玉木氏と榛葉氏を擁護する人物も現れました。昨年、石川県内の候補者として史上最年少で衆院選(比例復活)に当選した国民民主党の小竹凱議員(27)です。

起業家でありお笑いタレントでもあるたかまつなな氏(32)は10月13日、今回の件について《こういうところが、女性支持が弱いところではないか…。国民民主期待している部分があるだけに、残念。今、自民にも立憲にもどちらとも組める重要なポジションにいるだけに心配》とXに投稿し、国民民主党への懸念を表明しました。

これに対し、小竹議員は10月14日にたかまつ氏の投稿を引用リポストし、こう苦言を呈しました。《叩きたいだけ。なぜ『女性』が出てくるのか》と、批判の意図を疑問視し、「女性」という要素を持ち出すこと自体に異議を唱えました。

しかし、たかまつ氏は小竹議員の反論に対し、さらに詳細な説明で再反論を展開しました。《対決より解決をうたう政党が、ネットで誹謗中傷にあいやすい女性議員のことを雑に、笑いながら取り上げること、そのことへの配慮が足りないと思います。あの話は何を解決する話になるのか、むしろネット上の分断を広げてしまうことに気づかないなら、想像力に欠けており、残念です》と、党の掲げるスローガンと行動の矛盾を指摘しました。

さらに、《政党や思想を超えて、女性議員に向けられる誹謗中傷の多さ、そこに日頃から想いを馳せていたら、あのようなやりとりはできないのではないでしょうか》と、女性政治家が直面する現実への配慮の欠如を問題視しました。たかまつ氏は、笑い話が特定の人をおとしめる意図はなくても、総理候補となり得る人物の発言としては不適切であるとし、《自分の言葉がどう受け取られるか、どのような影響力があるのか、それが国会でまだまだ少ない女性議員をまわりまわって傷つけないのか考えてほしいです》と訴えました。以降、小竹議員からたかまつ氏に対する公的な応答はありません。

問われる政治家の「資質」と「品格」

玉木代表と榛葉幹事長の動画における会話に、もし嘲笑的な意図が込められていたとすれば、それは性別を問わず慎まれるべき行為です。たかまつ氏の意見には一部で「女性の要素を持ち出すのは過剰反応ではないか」という疑問の声も上がっていますが、一方で、小竹議員がたかまつ氏の意見を一方的に「叩きたいだけ」と断言したことに対しても、「対立より解決」をスローガンに掲げる国民民主党所属議員としての資質を問う声が多数上がっています。

SNS上では、《たかまつさんのポスト内容に対して思うことがあれば、是非、お相手の方への敬意を忘れず言葉を尽くして対応してくださることを願います。「叩きたいだけ。」と言う決めつけたような言葉は「対決より解決」で言葉を尽くして議論する姿勢の国民民主党を支持している身として少々悲しくショックでした》《公式動画で党のトップ2人が他党議員の陰口言ってるにも関わらず叩きたいだけと一蹴》《おだけかいが残念すぎてビビる こういう風な批判に「叩きたいだけ」と単純化してクソリプかましちゃうような奴なのか・・・「対決より解決」を実践するなら、相手が本当に言いたいことは何なのか深堀りすると思うんだけど》といったコメントが寄せられています。

政治家の発言は、公人としての立場と影響力を常に意識したものであるべきです。今回の騒動は、国民民主党が掲げる「対決より解決」という理念が、党のトップだけでなく、若手議員に至るまで浸透しているのか、そしてSNS時代における政治家のコミュニケーションのあり方について、改めて考えさせる契機となるでしょう。

参考資料