高市早苗氏、自民党新総裁就任で揺れる日本維新の会:連立戦略の誤算と未来への課題

自民党新総裁に就任した高市早苗氏。日本維新の会など他党への影響が注目される自民党新総裁に就任した高市早苗氏。日本維新の会など他党への影響が注目される

自民党の新総裁に高市早苗前経済安保相が就任したことで、日本の政界は新たな局面を迎えています。この動きは各野党に大きな波紋を広げ、特に連立政権への参加を視野に入れていた日本維新の会は、その戦略の再構築を迫られる状況にあります。高市新総裁の誕生は、維新の会が抱えていた連立構想の誤算を浮き彫りにし、さらには党内での亀裂の可能性まで指摘され始めています。

小泉進次郎氏への過度な期待と維新の連立戦略の誤算

日本維新の会執行部は、次期首相候補として小泉進次郎農水相の当選を強く期待していたようです。政治部デスクによると、「維新執行部は、小泉進次郎農水相が当選すると踏んでいたようで、計算が狂ったと頭を抱えています」とのこと。維新幹部は、小泉氏を後見する菅義偉元首相らと綿密な会談を重ね、小泉政権の誕生を念頭に置いた連立参加に向けた準備を進めていました。しかし、高市氏の勝利により、この連立戦略は根本から見直されることとなりました。維新関係者によれば、高市氏と維新の会の関係は薄く、政策的な連携も乏しいとされています。国対委員長の遠藤敬氏が個人的に親しい程度で、党としての強力なパイプは存在しないのが実情です。

高市新総裁と国民民主党の接近:維新の連立候補からの脱落危機

一方で、高市新総裁は国民民主党との政策的な一致点を多く持っています。特に、玉木雄一郎代表が提唱する「年収の壁」を178万円まで引き上げる案には、高市氏も賛同する姿勢を示してきました。このような政策面での合致を背景に、すでに高市サイドは国民民主党の榛葉賀津也幹事長らと、連立に向けた具体的な協議に入っていると報じられています。この動きは、日本維新の会が次期連立政権の有力候補から脱落する可能性が高いことを示唆しており、維新の会の今後の政局での立ち位置に大きな影響を与えると考えられています。連立戦略の失敗は、維新の会が国政での影響力を拡大する上で大きな障壁となるでしょう。

「大阪都構想」への固執が招く党内亀裂と離党ドミノの予兆

仮に小泉進次郎政権が誕生していたとしても、日本維新の会の先行きは不透明であったとの見方もあります。維新の会は連立参加の条件として、東京一極集中の是正を掲げた「副首都構想」を提示しており、これは形を変えた「大阪都構想」であることは明らかです。しかし、この都構想は住民投票で二度も否定されており、大阪以外の地域で選挙の争点としては票に結びつきにくいテーマです。在京の維新関係者は、「大阪組以外は選挙で訴えても票にならないテーマであり、それより社会保険料の引き下げを一丁目一番地に掲げるべきだ」と指摘しています。執行部がこの期に及んで都構想に執着し、連立入りに固執するようであれば、大阪組以外の議員が「雪崩を打って党を離れる」事態も想定されています。

移籍先の模索:参政党・チームみらいへの関心

日本維新の会からの離党を検討している議員たちの「移籍先」として、すでに複数の政党が取り沙汰されています。特に党勢が好調な参政党や、チームみらいなどが有力な候補として注目されています。先月、維新から離党を表明し除名された3人の衆議院議員のうちの一人は、参政党入りに向けて精力的に動いているとされています。また、昨年の衆議院選挙で落選した関東地方の支部長は、選挙直後に参政党関係者から「1年目の参議院議員の秘書をお願いしたい」と打診され、快諾した事例も報じられています。これらの動きは、維新の会における党内不和と、今後の政界再編の可能性を示唆していると言えるでしょう。

参考文献