【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は12日、中国との貿易協議について「第1段階の合意は近く署名できる」と述べ、米中首脳会談の早期実現に期待を示した。一方で「合意できなければ関税を大幅に引き上げる」と強調し、中国側に歩み寄りを迫った。検討中の首脳会談場所には言及しなかった。
トランプ氏はニューヨーク市で講演し、中国との貿易協定は「米国とその労働者、企業によい内容でなければ受け入れない」と指摘。中国との部分合意を表明した先月中旬以降、対中制裁関税を強化する強硬姿勢を控えてきたが、再び関税引き上げに言及して圧力を強める構えをみせた。
トランプ政権は、中国の習近平国家主席と署名に達した場合、12月中旬に予定する対中制裁関税を先延ばしする公算が大きい。会談場所はアイオワ州など米国内にこだわる意向を示してきたが、この日の講演では触れなかった。ただ、トランプ氏は、署名できる合意内容かどうかは「われわれが決める」と話し、好調な米国経済と対照的に、「中国経済はこの半世紀で最悪だ」として交渉での米国の優位性を強調した。
政権発足後の通商交渉をめぐり、トランプ氏は10月に署名した日米貿易協定に言及。米農産品の対日輸出で「貿易障壁を減らした」と称賛したが、同協定は「第1段階にすぎない」とも強調し、サービス産業などを含む包括的な協定締結に向けて、対日協議再開への意欲をのぞかせた。