日本へのロシア人観光客急増:ウクライナ侵攻後の意外な観光トレンド

ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧州諸国との関係が悪化する中、日本へのロシア人観光客が急増している。ロイター通信の報道によると、モスクワの在ロシア日本大使館にはビザ申請のために長蛇の列ができているという。

なぜ日本が人気?ビザ取得の容易さと経済回復が後押し

欧州諸国はロシアとの直行便を停止し、ビザ発給も厳格化している。一方、日本は直行便こそ停止しているものの、ロシア人に対してはビザ申請手数料が無料。さらに、航空便の予約確認書や渡航費用支払い能力証明書の提出も不要となっている。これらの簡素化された手続きが、ロシア人にとって日本旅行の魅力を高めている一因となっている。

加えて、ウクライナ侵攻の影響で一時的に落ち込んだロシア経済は回復基調にあり、ルーブルの価値や実質賃金も上昇。経済的な余裕が生まれたことで、海外旅行への意欲が高まっているロシア人も少なくない。

専門家の見解:桜の季節も人気を後押し

ロシア旅行産業連合のドミトリー・ゴリン副会長は、日本で休暇を過ごすロシア人は昨年のおよそ10万人から、今年は倍増する見込みだと予測。「日本の桜は人気の観光スポットなので、大使館に行列ができるのは当然だ」と述べている。日本の春の風物詩である桜も、ロシア人観光客の心を掴んでいるようだ。 例えば、旅行ジャーナリストの加藤美咲氏(仮名)は、「桜の開花時期に合わせて日本を訪れる外国人観光客は多く、ロシア人もその例外ではないでしょう。美しい桜並木や、桜をテーマにした様々なイベントは、彼らにとって魅力的な観光体験となるはずです」と指摘する。

ロシア人観光客の声:ヨーロッパより日本へ

実際にビザ申請のために大使館に並んでいたロシア人女性は、「ずっと日本に行きたいと思っていた。最近はヨーロッパに行くのが難しくなったが、日本へのビザ取得は4~5日しかかからないので行くことにした」とロイター通信に語っている。ヨーロッパへの渡航制限が強化される中、比較的容易に訪れることができる日本が、新たな旅行先として注目を集めているようだ。

日本の観光産業への影響

ロシア人観光客の増加は、日本の観光産業にどのような影響を与えるのだろうか。インバウンド専門家の田中一郎氏(仮名)は、「ロシア人観光客の増加は、コロナ禍で打撃を受けた観光産業の回復に貢献する可能性がある。ただし、急増する観光客に対応するための適切な対策も必要となるだろう」と分析している。

まとめ:新たな観光トレンドの行方

ウクライナ侵攻という未曾有の事態を背景に、日本へのロシア人観光客が急増している。ビザ取得の容易さやロシア経済の回復、そして日本の魅力が相まって生まれたこの新たな観光トレンドは、今後どのように変化していくのだろうか。今後の動向に注目が集まる。