ロシアとウクライナの国境付近、クルスク州スジャにあるガス計量施設への攻撃を巡り、両国が非難の応酬を繰り広げています。この事件は、米国が両国にエネルギーインフラへの攻撃停止を呼びかけた直後に発生し、国際社会の注目を集めています。一体何が起きたのか、真相に迫ります。
ロシア側の主張:ウクライナによる意図的な攻撃
ロシア国防省は、ウクライナ軍が意図的にガス計量施設を攻撃したと主張しています。同省によれば、この施設は昨年8月のウクライナ軍による越境攻撃以降、ウクライナ側の支配下に置かれていたとのこと。ウクライナ軍はクルスク州からの撤退時に施設を爆破し、米大統領の和平構想の信用を傷つけようとした、というのがロシア側の見解です。
クルスク州スジャのガス施設が炎上する様子
ウクライナ側の反論:ロシアによる自作自演
一方、ウクライナ側はロシアの主張を「根拠がない」と一蹴。逆に、ロシア側がウクライナの信用を傷つけ、国際社会を欺こうとしていると非難しています。ウクライナ参謀本部は、ロシア軍自身が繰り返しこの施設を砲撃していたとテレグラムで反論。3日前にも同じ施設へのミサイル攻撃があったと主張しています。イエルマーク大統領府長官もX(旧Twitter)で、ロシアによる停戦の偽装工作とフェイクニュースだと批判しました。
ガス供給停止の背景とスジャの戦略的重要性
このガス計量施設は、かつてロシア産天然ガスをウクライナ経由で欧州に供給する最後のルートでした。しかし、ウクライナ政府が契約更新を拒否したため、今年1月1日午前に供給は停止されています。スジャはウクライナ軍の越境攻撃で一時的に掌握された最大の都市でしたが、ロシア軍は1週間以上前に奪還を発表していました。
専門家の見解
国際エネルギー政策専門家(仮名:佐藤一郎氏)は、「今回の事件は、エネルギー供給を巡る両国の緊張関係を改めて浮き彫りにした。真相究明が不可欠だが、互いの主張が食い違っており、事態の解明は容易ではないだろう」と指摘しています。
米国の和平仲介 effortsと今後の展望
プーチン大統領とトランプ米大統領は18日、電話会談でウクライナのエネルギー施設への攻撃を一時的に停止することで合意。ゼレンスキー大統領も翌日、攻撃停止を支持する意向を示していました。今回の事件は、この合意直後に発生したこともあり、今後の和平交渉への影響が懸念されます。
ウクライナ紛争の終結、そしてエネルギー安全保障の確保に向けて、国際社会の協力と冷静な対応が求められています。