北海道ニセコ。そこは、世界中からスキーヤーやスノーボーダーが集まる、まさにウィンタースポーツの聖地。しかし、その華やかな舞台の裏側には、地元住民から「植民地」と揶揄されるほどの外国人観光客中心の経済圏が広がっているのです。jp24h.comでは、その実態を現地取材を通して深く掘り下げてみました。
ニセコひらふ:英語表記があふれる街並み
1月の昼下がり、ニセコひらふ地区を歩くと、色鮮やかなスキーウェアに身を包んだ外国人観光客の姿が目立ちます。レストランやキッチンカー、コンビニ…どこを見渡しても、まるで海外にいるかのような錯覚に陥るほど。英語表記の看板があふれ、外資系ホテルが立ち並ぶ光景は、日本の他の観光地とは一線を画しています。
ニセコひらふ地区のキッチンカー
地元住民からは、「スキー場周辺は植民地みたいだ」という嘆きの声も聞こえてきます。ニセコの経済は、外国人観光客に大きく依存しているのです。
強気の価格設定:外国人観光客向けの商品とサービス
ニセコひらふ地区では、日本人向けの店を見つけるのは至難の業。飲食店のメニューは英語表記が中心で、4,730円の寿司セットや9,240円の刺身定食、46,200円の刺身盛り合わせなど、強気の価格設定が目立ちます。
外国人が行き交うニセコひらふ地区
コンビニでも、おにぎりやパンの隣に数千円のイチゴ、ペットボトル飲料の隣に4万円以上の高級シャンパン「ドン・ペリニヨン」が並ぶなど、外国人観光客のニーズを捉えた品揃えとなっています。
冬季限定のキッチンカーも、外国人向けメニューが中心。5,000円のステーキサンド、2,000円のラーメン、1,000円のツナの手巻き寿司など、手軽な価格帯の商品はほとんど見当たりません。中には、1箱2万円のウニを販売する店もあり、「中国系のお客さんがたまに買っていく」とのこと。
ニセコひらふ地区で営業するキッチンカー
外国人観光客の金銭感覚:高価格でも「普通」
1万円の寿司を食べたオーストラリア人女性は、「中価格帯」とコメント。オーストラリアでは生の魚はもっと高価だといいます。また、中国人男性も「欧州の観光地に比べれば普通の値段」と語り、ニセコの物価の高さをそれほど気にしていない様子でした。
ニセコひらふ地区のスキー場
事業者の言い分:円安とブランドイメージ
外国人観光客の高い金銭感覚を背景に、事業者も強気の価格設定を続けています。あるキッチンカーのスタッフは、「安くすると粗悪品と誤解されるリスクがある」と説明。また、ニセコエリアで民泊を営む男性は、宿泊料を88,000円から99,000円に値上げした理由を「円安」だと説明しています。
倶知安町社会福祉協議会が入る建物
周りの民泊も同様に値上げしているとのことで、ニセコ全体の価格帯が上昇傾向にあることが伺えます。 北海道ニセコの「外国人観光客向けリゾート地化」は、経済効果をもたらす一方で、地元住民との間に複雑な感情を生み出していると言えるでしょう。