来年7月5日投開票の日程が正式決定した東京都知事選で、候補擁立を目指す自民党都連(鴨下一郎会長)の人選が難航している。再選出馬が確実視される小池百合子知事への遺恨は根強いが、対抗馬が見つからず、自民党の二階俊博幹事長も小池氏支持の姿勢を続けているためだ。年明けにずれ込めば東京五輪ムードが強まり、小池氏との対決色を打ち出しにくくなる。党内では「年内がタイムリミット」との声が出始めている。
「東京五輪・パラリンピックを大成功させ、東京を世界で一番の都市にするのが課題だ。一番ふさわしい候補を擁立すべく汗をかきたい」
自民党の下村博文選対委員長は13日、都知事選の日程が決まったことを受け、党本部で記者団にこう語った。候補に関しては「都連も勝てる候補ということで選考を進める」と強気の姿勢をにじませた。
都連は今年6月に選考委員会を設置し、候補者選定を進めているが、平成28年の前回選挙でも候補者選びは苦戦し、擁立した増田寛也元総務相は小池氏に110万票超の大差をつけられた。29年の都議選も小池氏率いる都民ファーストの会に大敗した。
都連内には「小池憎し」の向きが強く、雪辱を果たそうと躍起になっているが、知名度の高い小池氏に対抗できる候補を擁立するのは容易ではない。丸川珠代元五輪相の名も挙がるが、本人は「国政で働きたい」と距離を置く。
五輪が近づけば開催都市の知事を交代させる大義名分は掲げにくくなる。
都連にとって頭が痛いのは旧新進党などで歩みを共にした小池、二階両氏の間柄だ。二階氏は今年3月4日の記者会見で小池氏再選を支持する考えを早々に示し、都連の対抗馬擁立の動きについて「(小池氏に)勝つ自民党の公認候補はどんな人がいるか。有名だから当選するだろうなんてダメ」と突き放した。
二階氏はこれまで小池氏の再選支持を繰り返し、小池氏も二階氏と時折会って蜜月ぶりをアピール。8月には小池氏を支援する政治団体が都内で開いたセミナーにそろって参加した。
党本部と都連の足並みが乱れれば、統一候補の擁立を目指す野党を利することになる。二階氏周辺は「都連のメンツ」に理解を示した上でこう語った。
「人選が長引けば長引くほど追い込まれる。現実的な判断をするのが政治だ」
(広池慶一)