ホテルのロビーで居座る外国人男性と、対応に苦慮する警察官。SNSで拡散されたこの動画、あなたも目にしたかもしれません。京都の高級ホテル、ハイアットリージェンシー京都で起きたこの一件は、改めて「おもてなし」の限界を私たちに問いかけています。
宿泊客以外立ち入り禁止? 揺らぐ日本のホスピタリティ
静かに目を閉じ、まるで瞑想中の外国人男性。しかし彼は宿泊客ではなく、ホテル側は退去を求めます。警察官も加わり、日本語と英語で丁寧に説明しますが、男性は首を横に振り、頑なに拒否。傍らの荷物にも触らせない姿勢を見せます。
alt 京都ハイアットリージェンシーのロビーで座り込む外国人男性
この動画に対し、SNS上では様々な意見が飛び交っています。「なぜ逮捕しないのか」「日本の警察は優しすぎる」「日本が舐められている」といった批判の声がある一方で、「日本の警察は親切だ」と肯定的な意見も。改めて日本の「おもてなし」のあり方が問われていると言えるでしょう。
なぜ居座る? 背景にあるインバウンドの光と影
円安の進行などを受け、日本への観光客は増加の一途を辿っています。経済効果への期待が高まる一方で、観光客による迷惑行為も増加し、社会問題化しつつあります。
一部では、迷惑行為を動画配信し収益化を図る外国人集団の存在も指摘されています。経済ジャーナリストの山田一郎氏(仮名)は、「インバウンドのGDPへの寄与は1%余り。その程度のために、オーバーツーリズムや迷惑行為を我慢する必要があるのか、という議論も出ている」と指摘します。
alt ホテルのロビーで警察官と話す外国人男性
ルール周知と適切な対応策の必要性
もちろん、迷惑行為をするのは外国人観光客だけではありません。日本人にもマナーの悪い人はいますし、インバウンドによる経済効果も無視できません。デジタル赤字をインバウンドで補填しているという側面もあるのです。
外国人排斥を主張するのではなく、外国人観光客へのルール周知や、迷惑行為への適切な対応策を確立していくことが重要です。訪日外国人向けの多言語対応や、文化の違いを理解した上でのコミュニケーションも必要でしょう。
ホテル側は今回の件に関する詳細なコメントを控えていますが、「お客様に快適で安心してお過ごしいただける環境を提供することを最優先に考えております」と回答。今後、迷惑行為に対して適切な対応をとっていく方針を示しています。
この一件は、日本の「おもてなし」の精神と、現実的な対応のバランスをどう取っていくのか、改めて考えさせられる出来事となりました。