株式市場を1000億円超の資金で席巻した伝説の相場師、加藤暠。政財界に幅広い人脈を持ち、兜町の風雲児と呼ばれた男が、なぜ禅寺に足繁く通うようになったのか。その背景には、所得税法違反で東京地検特捜部に逮捕されたという転機があった。今回は、彼の人生を紐解きながら、活禅寺との繋がり、そして禅に傾倒した理由を探ります。
活禅寺:政財界の要人が集う坐禅道場
長野市の善光寺裏手に位置する活禅寺。大峰山の中腹に佇むこの寺は、眼下には善光寺平と千曲川、遠方には浅間山や志賀高原を望む絶景の地にあります。毎朝5時半からの読経と坐禅、泊まり込みの修行者には水行も行われる本格的な禅道場です。
活禅寺は、30年に渡る仏行を積んだ開祖・徹禅無形によって1943年に開山されました。宗派に属さない坐禅専門道場として、只管打坐を提唱。スティーブ・ジョブスが実践した瞑想や、現代で人気のマインドフルネスのルーツとも言える修行法です。
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この活禅寺には、かつて中曽根康弘元首相、玉置和郎氏、林大幹氏、三浦甲子二氏など政財界の錚々たる面々が訪れていました。中曽根氏は首相在任中、毎週坐禅を組んでいたことでも知られており、徹禅無形は彼の師の一人でした。首相動静にも、徹禅無形との面会記録が残されています。
これらの要人を活禅寺に導いたのが、他でもない加藤暠でした。
加藤暠:仕手筋の本尊と呼ばれた男
加藤暠は、投資家集団「誠備」を率い、株式市場で巨額の資金を動かし、数々の相場を仕掛けてきた伝説の相場師です。「仕手筋の本尊」と呼ばれ、まさに株式市場の主役を演じてきました。
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彼は、福田赳夫、中曽根康弘、小泉純一郎といった大物政治家から、高級官僚、大物右翼、暴力団組長に至るまで、多岐に渡る人脈を築いていました。その影響力は計り知れません。
逮捕という転機:禅との出会い
莫大な富と権力を手にし、欲望渦巻く世界で生きてきた加藤暠。しかし、所得税法違反で東京地検特捜部に逮捕されたことが、彼の人生における大きな転機となります。この出来事が、彼を禅の世界へと導くきっかけとなったのです。
次回では、加藤暠が活禅寺とどのように関わり、禅に傾倒していったのか、その詳細を探っていきます。 彼の心の変化、そして禅が彼の人生に与えた影響とは一体何だったのでしょうか。