南海トラフ巨大地震:最悪29.8万人死者、経済損失292兆円と想定、改めて防災意識を高めよう

南海トラフ巨大地震、その脅威は私たちの想像をはるかに超える可能性があります。政府の有識者会議が発表した最新の被害想定では、最悪の場合、死者数が29万8000人、経済損失は292兆円に達するとされています。これは国家予算の2.5倍に相当する金額であり、私たちの生活に甚大な影響を与えることは間違いありません。

最新の被害想定:より深刻化する南海トラフ巨大地震の脅威

最新の想定では、高精度な地形・地盤データを用いたことで、被害地域がより広範囲に及ぶことが明らかになりました。浸水域は前回想定より3割増の1152平方キロメートル、震度7を観測する地域も静岡県から宮崎県までの149市町村に拡大しています。

南海トラフ巨大地震による各地の最大震度の分布南海トラフ巨大地震による各地の最大震度の分布

2012年の前回想定と比較すると、死者数は32万3000人から29万8000人、全壊・焼失建物は238万6000棟から235万棟と微減しています。しかし、これは単純比較できるものではなく、耐震化や津波避難タワーの整備といったハード対策の進展がある一方で、浸水域の拡大など新たな要素が加わった結果と言えます。

死者数の内訳と災害関連死

死者数の内訳は、津波による死者が21万5000人、建物倒壊による死者が7万3000人、火災による死者が8700人と想定されています。また、今回初めて災害関連死についても想定が発表され、最大5万2000人に達する可能性が指摘されています。これは、被災による疲労や病気で亡くなる方を指し、東日本大震災や能登半島地震のデータに基づいて算出されました。

経済損失292兆円:未曾有の国難への備え

経済損失は、間接的な影響も含めると292兆円と試算されています。これは物価高騰の影響もあり、前回想定より72兆円も増加した数字です。この甚大な経済損失は、日本経済にとって大きな打撃となり、復興への道のりは長く険しいものとなるでしょう。

防災対策の限界と個人の役割

有識者会議は、「従来の行政主体による対策だけでは限界がある」と指摘し、国民一人ひとりの防災意識の向上と行動の重要性を強調しています。住宅の耐震化、迅速な避難行動、非常用持ち出し袋の準備など、私たち一人ひとりができることから始めていく必要があります。

南海トラフ巨大地震への備えを今一度確認しよう

南海トラフ巨大地震は、30年以内の発生確率が80%程度とされている差し迫った脅威です。2024年8月の日向灘地震では、気象庁が初めて南海トラフ地震への注意を呼びかける「臨時情報(巨大地震注意)」を発令しました。この出来事は、私たちに改めて防災対策の重要性を認識させるものとなりました。

この未曾有の災害に備え、家族や地域で防災について話し合い、避難経路の確認、非常用持ち出し袋の準備など、具体的な行動を起こしましょう。専門家の意見も参考に、防災知識を深め、日頃から備えておくことが大切です。

専門家の声

防災システム研究所の山田一郎氏(仮名)は、「今回の想定は、最新の知見に基づいて作成されたものであり、非常に重要な情報です。しかし、これはあくまでも想定であり、実際の被害は想定を上回る可能性も十分にあります。一人ひとりが最悪の事態を想定し、万全の備えをすることが重要です。」と述べています。