【赤の広場で】偽ニュースに仰天


 先日、本社から「ロシアで産経新聞を悪用したフェイクニュースが報じられている」と連絡があり、記事を読んで仰天した。ロシアのあるインターネット通信社が5日に配信していた記事は「『日本の防衛相が、北方領土上空を飛行するロシア軍機を今後は撃墜するよう自衛隊に命じた』と産経新聞が報じた」とする内容だったためだ。

 防衛相がそうした命令を出した事実はなく、当然、本紙が報じた事実もない。配信元であるネット通信社「ベルシヤ」のサイト上の記事はゴシップ的なものが多く、この“ニュース”を読んだロシア人の大半も一笑に付したに違いない。

 それでも一部では、SNS(会員制交流サイト)を通じて記事が拡散されていた。本紙の信用に関わる問題であり、掲載経緯などを尋ねようとベルシヤに何度も電話をしたが、つながらない。電子メールも送ったが返信はなく、記事はまだサイト上に残ったままだ。

 ロシアでは今年、ネット上の報道や書き込みを捜査当局がフェイクと判断した場合、発信者に罰則を科す法律が施行された。しかしこれまでのところ、政権側に都合の悪い情報に適用される事例が多いようだ。日露関係を悪化させかねない今回のようなフェイクニュースにこそ、法を適用すべきではないだろうか。(小野田雄一)



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