バンコク高層ビル倒壊:建設過程の真相究明へ、専門家チーム始動

バンコクで起きた高層ビル倒壊事故。地震の影響で崩れ落ちたビルの姿は、都市の脆弱性を露呈する衝撃的なものでした。タイ政府は迅速に専門家調査チームを立ち上げ、建設過程の真相究明に乗り出しました。一体何がこの悲劇を引き起こしたのか、徹底的に解明されることが期待されています。

地震で倒壊、専門家チームが調査開始

3月28日に発生した地震により、建設中の高層ビルが突如として倒壊。タイ政府は3月30日、専門家による調査チームを発足させました。がれきの回収作業を進めながら、4月上旬にも調査結果を報告する予定です。

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首相、副首相も調査の必要性を強調

ペートンタン首相は、他の高層ビルが無事だった点を指摘し、「このビルだけが倒壊した原因を明らかにする必要がある」と述べ、建設・設計の承認過程に疑問を呈しました。アヌティン副首相も、鉄鋼などの資材に問題があった可能性を示唆しています。専門家チームによる徹底的な調査が求められています。

海外初進出の中国企業、資材の質に疑問符

タイや中国のメディアによると、倒壊したビルはタイの建設大手「イタリアンタイ・デベロップメント」と中国国有建設会社「中鉄十局」の共同企業体が建設を担当。中鉄十局にとっては、海外で初めて請け負った超高層建築だったと報じられています。2020年に着工し、全体の30%まで建設が進んでいた矢先の出来事でした。カセサート大学工学部のアモーン・ピマンマ教授は、資材の品質の低さや耐震性の不足を指摘。エンジニア協会の元会長であるスチャチャウィー・スワンサワット氏は、日本などの知見を持つ国に助言を求めるべきだと提言しています。専門家らの見解からも、建設過程における様々な問題点が浮き彫りになっています。

耐震基準の見直し、国際協力の必要性

今回の事故は、都市開発における耐震基準の重要性を改めて示すものとなりました。専門家チームの調査結果を踏まえ、今後の建設計画における安全対策の強化が急務です。また、日本の耐震技術を活用するなど、国際協力による防災体制の構築も重要となるでしょう。

更なる情報公開と再発防止策に期待

この事故は、建設業界全体の安全意識向上を促す契機となるはずです。徹底的な調査に基づく情報公開と再発防止策の実施が、市民の信頼回復につながるでしょう。今後の動向に注目が集まります。