【ワシントン=黒瀬悦成】トルコのエルドアン大統領は14日、トランプ米大統領がトルコにロシア製地対空ミサイルS400の導入中止を求めている問題で、米政権の要求は「トルコの主権を侵害している」と述べ、S400を破棄する考えはないことを明らかにした。ロイター通信が同日、トルコメディアの報道として伝えた。
エルドアン氏はワシントンで13日行われたトランプ氏との首脳会談の帰途、同行記者団に対し、S400破棄の可能性について、ロシアとの関係を悪化させるわけにはいかないと指摘し、S400の代替装備として米国製地対空ミサイル「パトリオット」を導入することもできないとの考えを明らかにした。
エルドアン氏は一方で、「米国がパトリオットを供与してくれるというなら供与してほしい」とし、米露の両ミサイルシステムを導入することは可能だとの立場を示した。
トランプ氏は、トルコがS400を導入したことに対し制裁を科すことは控えつつ、トルコを最新鋭ステルス戦闘機F35の国際共同開発から排除した。
エルドアン氏は、F35に関し「トランプ氏から色よい対応があった」と主張し、F35計画復帰への期待を示した。ただ、ロイター通信によると、首脳会談に同席した共和党上院議員5人からは「ロシアからミサイルを導入しておいて、何の結果も招かないと考えるべきでない」などと厳しい意見が相次いだという。