大阪・関西万博のパビリオン建設はなぜ進まない? 建築エコノミストが驚愕するほどの「根本的な問題」があった


 そう指摘するのは、建築エコノミストで一級建築士の森山高至氏。森山氏に大阪・関西万博の夢洲会場の問題について語ってもらった。

(本記事は、『ファスト化する日本建築』より一部を抜粋し、再編集しています)

軟弱地盤の夢洲会場

 通常、埋め立て地を次の利用方法を検討し建物を建てられるようになるまでは、水抜きと盛り土の繰り返しによって、十数年以上はかかるものなのである。

 想定している地面の高さまで土を盛っても、盛った土の自重で沈みはじめ、初年度は10数メートルの高さが沈んでしまう。

 土を盛る、沈む、水を抜く、また土を盛る、また沈む、また水を抜く、といった作業を延々と繰り返し、初年度で十数メートルだった沈下量は徐々に減っていき、2年目数メートル、3年目1メートル数十センチ、以降は数十センチの地盤沈下を繰り返しながら、ある程度の土地の固さになるまで十数年はかかることを想定しているものなのである。

 つまり、未だ充分な土地の強度に至っていないものを、半ば強引に土地改良を施し万博会場として活用しようとしたわけである。

 それは、地盤の問題である。万博というイベントが、いわば単純なお祭りやフェスティバル、コンサートやダンスといった陸上の競技イベントならば、まだなんとかなったかもしれないが、万博はパビリオンを建てる。参加各国が建築をするのである。

 実は、筆者も2年前にある万博参加国家からパビリオン設計と工事会社の選定の依頼を受けた。そのときに各国のパビリオン出展のための要項を入手し、その内容を確認してみたが、驚愕した。土地の状態が予想以上に悪く、さらに基礎工事に関しての取り決めが非常に不利なのである。



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