中国サッカー代表チームにとって、2026年FIFAワールドカップ北中米大会への出場は、まさに正念場を迎えています。6月に行われるアジア最終予選、残るインドネシア戦とバーレーン戦、2試合の勝利がW杯出場への切符を掴むための絶対条件。しかし、中国国内の雰囲気は決して楽観的とは言えません。
低迷続く中国サッカー、国民の期待を裏切り続ける現実
2002年の日韓共催W杯以来、本大会出場から遠ざかっている中国代表。3月のサウジアラビア戦、オーストラリア戦での敗北は、国民の落胆をさらに深める結果となりました。プロリーグの中断も厭わず、代表チーム強化に注力してきたにも関わらず、結果が出ない現状に、中国サッカー協会への批判の声が高まっています。
中国サッカー代表チームの試合の様子
習近平国家主席の肝いりも虚しく…「サッカー改革総合案50カ条」の成果は?
2015年、中国政府は「サッカー改革総合案50カ条」を発表。サッカー専用学校5万校の設立、プロリーグへの投資など、2025年までに代表チーム強化を図る壮大な計画を打ち出しました。習近平国家主席自身も熱狂的なサッカーファンとして知られ、「2000人のメッシを育てろ」と指示を出したと言われています。巨額の投資と国家主席の期待を背負い、中国サッカーの未来は明るいと思われました。
しかし、それから10年、結果は惨憺たるもの。2015年、2019年のアジアカップはベスト8敗退、W杯出場も叶わず。2023年のアジアカップでは、1次リーグ敗退という屈辱を味わいました。サッカー評論家の山田太郎氏は、「育成システムの構築に時間がかかるのは当然だが、巨額の投資に見合う成果が出ているとは言えない」と指摘しています。
高額年俸で招聘した名将も結果を出せず
2016年には、イタリアの名将マルチェロ・リッピ氏を年俸約32億円で招聘。世界的な名監督の手腕に期待が集まりましたが、W杯出場という目標は達成できませんでした。莫大な投資と著名な指導者の招聘だけでは、真の強化には繋がらないという現実を突きつけられています。
サッカーの練習風景
中国サッカーの未来はどこへ? 再起への道筋は見えるのか
中国サッカーの低迷は、育成システムの未熟さ、指導者不足、そして精神的な弱さなど、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられます。今後の代表チームの強化、そして中国サッカー界全体の底上げのためには、長期的な視点に立った戦略が必要不可欠です。20年ぶりのW杯出場という悲願達成のため、中国サッカーは大きな岐路に立たされています。