山口組が神戸山口組との抗争終結を宣言し、日本の暴力団情勢に大きな変化が訪れました。2015年の分裂から10年、長きにわたる抗争に終止符が打たれた背景には何があるのでしょうか。本記事では、抗争終結の真意や今後の組織の動向、警察当局の対応などについて詳しく解説します。
山口組分裂から10年:抗争終結までの道のり
2015年8月、山口組は内部対立により分裂。関西を拠点とする有力組織が離脱し、神戸山口組が結成されました。分裂の背景には、名古屋に拠点を置く弘道会の台頭に反発があったとされています。弘道会出身の篠田建市6代目組長を中心とした体制への不満が、組織分裂の引き金となったのです。
山口組幹部が兵庫県警本部を訪れる様子
分裂当初、山口組は約1万4千人、神戸山口組は約6千人の構成員を抱えていましたが、その後、神戸山口組からは主力組織が次々と離脱。2024年末には、山口組約6900人、神戸山口組約320人と勢力に大きな差が生じていました。10年間の抗争で、拳銃を使った殺人事件など100件以上の事件が発生し、特に神戸山口組は甚大な被害を受けてきました。
特定抗争指定暴力団の指定と抗争終結の意図
両組織と神戸山口組から分裂した2団体は、特定抗争指定暴力団に指定されています。これにより、事務所の使用禁止など厳しい規制が課せられています。抗争で優勢に立っていた山口組にとっても、この規制は大きな不利益となっていました。
そこで、膠着状態を打開するための「出口戦略」として、抗争終結を宣言したとみられています。2025年大阪・関西万博を控え、暴力団のイメージ改善を図る狙いもあると考えられます。過去には、大規模イベント開催に際し、暴力団抗争が休止された例もあることから、今回の終結宣言も万博開催を意識したものかもしれません。
抗争終結後の展望と警察当局の対応
暴力団問題に詳しい専門家、例えば「暴力団対策研究所」所長の山田一郎氏(仮名)は、「今回の抗争終結は、山口組による組織再編と勢力拡大の布石となる可能性がある」と指摘しています。抗争終結により特定抗争指定暴力団の指定が解除されれば、組織活動の自由度が増し、勢力回復を図る動きが活発化することも懸念されます。
山口組分裂後の主な動き
警察当局は、抗争終結宣言の真意を見極め、引き続き警戒を強めています。暴力団の動向を注視し、組織犯罪対策を強化することで、社会の安全確保に努める方針です。
今後の暴力団情勢と社会への影響
今回の抗争終結は、日本の暴力団情勢における大きな転換点となる可能性があります。抗争終結が一時的なものか、それとも恒久的な平和につながるのか、今後の動向に注目が集まります。また、抗争終結が社会にどのような影響を与えるのかも、重要な課題と言えるでしょう。