推し活。今やZ世代の消費を語る上で欠かせないキーワードとなっています。キラキラ輝くアイドルや、華麗なパフォーマンスを見せるアスリートなど、多様な対象に惜しみなくお金を注ぐ若者たち。その背景には、一体何があるのでしょうか？本記事では、Z世代の推し活消費の現状と、その背後に潜む社会的な要因について深く掘り下げていきます。
推し活市場の拡大：豊かさの象徴？それとも…
近年の報道で、若者の初任給アップや好景気といった話題が取り上げられる機会が増えています。それと同時に、Z世代を中心とした推し活市場の拡大も注目を集めています。しかし、本当にZ世代は豊かになっているのでしょうか？中央大学の山田昌弘教授は、この見方に疑問を呈しています。
一部の大企業で初任給30万円といった事例はあるものの、それはごく一部に過ぎません。むしろ、多くのZ世代は中小企業や非正規雇用で働き、賃上げの恩恵を十分に受けていないのが現状です。
Z世代の推し活イメージ
推し活にハマる本当の理由
では、なぜ経済的に豊かとは言えないZ世代が、推し活に熱中するのでしょうか？山田教授は、その理由を「現実世界への希望の喪失」にあると指摘します。
かつてのファン活動は、「好きなアーティストのように頑張ろう」といった自己実現へのモチベーションと結びついていました。しかし、Z世代の推し活は、「推しが成功して幸せになってほしい」という、自分の人生とは直接関係のない願望が強い傾向にあります。
現代社会における閉塞感
若者が現実世界に希望を持てない背景には、様々な要因が考えられます。厳しい就職活動、不安定な雇用環境、先行きの見えない社会情勢など、閉塞感を感じさせる要素は枚挙に暇がありません。
料理研究家の佐藤美香さん（仮名）も、「今の若い人たちは、自分たちの未来に不安を抱えているように見える」と指摘します。「だからこそ、推し活を通して、少しでも明るい気持ちになれるのかもしれません」
推し活という希望の光
推しを応援することで得られる喜びや、同じ推しを持つ仲間との繋がりは、Z世代にとって貴重な心の支えとなっています。現実世界で満たされない承認欲求や帰属意識を、推し活という仮想空間で満たそうとしているのかもしれません。
推し活は現実への絶望の裏返し？
推し活は、単なる消費活動ではなく、Z世代の生きづらさを反映した社会現象と言えるでしょう。彼らが抱える不安や希望を理解し、より良い未来を築いていくことが、私たち大人の責任と言えるのではないでしょうか。
まとめ：Z世代の心に寄り添うために
Z世代の推し活消費は、一見すると経済的な豊かさの象徴のように見えますが、その背後には、現実社会への閉塞感や不安が潜んでいます。推し活を通して、彼らが何を求めているのか、何に苦しんでいるのかを理解することが、これからの社会を築いていく上で重要となるでしょう。
