「良いこと悪いこと」真犯人はコイツだ “共犯”はなぜか現場から消えた人物 “伏線”からわかったこと


宇都見刑事が犯人? 

【写真】「この人怪しい」「悪い顔だ~」…“真犯人”は誰? 盛り上がる考察合戦

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 まず捜査1課刑事の宇都見啓(木村昴)はシロである。連続殺人が起こる前から、塗装業の高木が常連であるレトロスナック「イマクニ」に通い、職業を尋ねられると「しがない公務員です」と答えた。

 だから怪しまれたが、勤務時間外に身分を隠すのは警察官の常識。怪しい人物が近づいて来るのを未然に防ぐためである。警視庁本庁は勤務時間外には「本店」と呼ぶ。各警察署は「支店」。これも理由は同じである。

 宇都見は第5回、上司の宮園(戸田昌宏)にこの件を連続殺人として捜査させてほしいと頼んだ。宇都見が犯行に加担していたら、自殺行為である。

 この時点で薬剤師・武田敏生(水川かたまり)、ホステス・中島笑美(松井玲奈)、居酒屋店主・桜井幹太(工藤阿須加)の3人が死んでいた。武田と中島は既に事故死で処理されていたから、警察上層部は連続殺人としては動きたがらなかった。

 ノックスの十戒はその7で「探偵自身が犯人であってはならない」と定めている。それが許されたら、何でもできてしまい、ミステリーではなくなってしまうからだ。このドラマの場合、高木と「週刊アポロ」記者の猿橋も探偵役。万一、2人のどちらかが犯人だったら、視聴者の多くはあきれるはずである。

 歌のとおりに人が死んでいくところが、このドラマとアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」(1939年)は共通する。アガサの作品は連続殺人で10人が死んだ。犯人は途中で殺されたはずの元裁判官だった。自分の死を偽装した。

 このドラマも火を放たれて死んだ桜井に疑惑の目が向けられた。「本当は生きているのではないか」と。桜井には不審な点もある。だが、死んだのは間違いない、

 第1回で桜井の居酒屋は火事になる。桜井は意識不明の状態で病院に収容された。面会謝絶。心配して訪れた高木も会えなかった。米国でアプリとゲームの開発会社を経営する小山隆弘(森本慎太郎)もやって来たが、同じ。



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