サービス付き高齢者住宅「メディカル志賀」突然の閉鎖、入居者の不安募る

高齢者の安心の住まいとして知られるサービス付き高齢者住宅(サ高住)。長野県山ノ内町の「メディカル志賀」が突然閉鎖され、入居者の生活に大きな影を落としています。一体何が起きたのでしょうか?この記事では、突然の閉鎖の背景、入居者や職員への影響、そして今後の見通しについて詳しく解説します。

閉鎖の背景:運営会社の破産と予期せぬ事態

「メディカル志賀」に併設の訪問介護事業所を運営していた「ヘルスケアセンター・メディカルタウン」(岡谷市)が、今月初めに突然破産。これが閉鎖の直接的な原因となりました。介護保険法では、事業停止の1カ月前までに届け出る義務がありますが、今回のケースではそれが守られず、入居者や職員は寝耳に水といった状況でした。

経営者の証言:高騰するコストが経営を圧迫

「メディカルタウン」の経営者は、昨年9月に経営権を引き継ぎ、金融機関からの融資を受けて黒字化を目指していました。しかし、想定以上の建物賃料に加え、人件費や光熱費の高騰が経営を圧迫。事業継続を断念せざるを得なくなったと語っています。届け出が遅れたことについては、「急な事態で申し訳なかった」と謝罪しています。

alt=山ノ内町のサービス付き高齢者住宅「メディカル志賀」の外観alt=山ノ内町のサービス付き高齢者住宅「メディカル志賀」の外観

入居者への影響:不安と戸惑い広がる

約70世帯が入居する「メディカル志賀」のうち、約30人が介護サービスを受けていました。突然の閉鎖により、これらの入居者は大きな不安を抱えています。特に、車椅子生活を送る90歳の女性は、「ついのすみかと思っていたのに…」と嘆き、今後の生活に不安を募らせています。

行政の対応:新たな事業者の確保を急ぐ

長野県と山ノ内町は、担当のケアマネジャーと連携し、入居者への支援に乗り出しました。県内の社会福祉法人が支援に入り、元職員2人を緊急雇用して一部業務を継続していますが、食事提供などサービスの再開には至っていません。県は、「事業を引き継ぐことなく停止した事業者は前例がなく驚いている」とコメントし、新たな事業者の確保を急いでいます。「メディカル志賀」を所有する「湯田中メディカル」の経営者も、新たな事業者の選定に尽力するとしています。

今後の見通し:入居者の生活再建が焦点

今回の「メディカル志賀」の閉鎖は、高齢者福祉の課題を改めて浮き彫りにしました。高齢化社会が進む中で、サ高住のような高齢者施設の需要はますます高まっています。安定したサービス提供体制の構築と、入居者の生活の安全・安心を確保するための対策が急務となっています。

専門家の見解:施設運営の透明性確保が重要

高齢者福祉に詳しい専門家(仮名:山田一郎氏)は、「今回のケースは、施設運営の透明性確保の重要性を示している」と指摘します。「入居者にとって、サ高住は生活の基盤となる場所。運営状況の情報公開を徹底し、入居者が安心して生活できる環境を整備する必要がある」と提言しています。

今回の事態を受け、行政は再発防止に向けた取り組みを強化する方針です。今後、同様のケースを防ぐためには、事業者の経営状況の監視を強化するだけでなく、入居者への情報提供を充実させるなど、多角的な対策が必要となるでしょう。