グリーンランドにあるピツフィク米宇宙軍基地の司令官が突如解任され、波紋が広がっています。解任の背景には、副大統領への批判があったとされ、今後の米軍とデンマークの関係にも影響が出ることが懸念されています。この記事では、事件の経緯と今後の展望について詳しく解説します。
ピツフィク基地司令官、電撃解任の真相
2025年4月10日、米宇宙軍はグリーンランドのピツフィク基地司令官、スザンナ・マイヤーズ大佐を解任しました。国防総省は「指導力に対する信頼を失った」と説明していますが、その背後には、3月のバンス副大統領グリーンランド訪問時の発言に対するマイヤーズ氏の批判があったと報じられています。
グリーンランドのピツフィク米宇宙軍基地で、マイヤーズ司令官(左)から説明を受けるバンス副大統領(右)と妻ウシャ氏(中央)
バンス副大統領は訪問時、「デンマークより米国の安全保障の傘下にいた方がいい」「米軍はデンマークを上回る投資をする」といった発言をし、デンマーク政府を牽制しました。当時、トランプ前大統領のグリーンランド「購入」発言の余波もあり、デンマーク国内では米国の影響力拡大への警戒感が高まっていました。
マイヤーズ氏は副大統領訪問の3日後、基地職員宛てにメールを送信。「私が知る限り、副大統領が提起した米政権の懸念はピツフィク基地の意見を反映したものではない」と、副大統領の発言内容に異議を唱えたとされています。
国防総省のパーネル報道官は、マイヤーズ氏の解任について「指揮系統を損ねたり、大統領の政策課題を覆したりする行為は許されない」とX(旧Twitter)で批判。マイヤーズ氏のメールが解任の直接的な原因となった可能性を示唆しました。
ピツフィク基地の重要性と今後の日米関係への影響
ピツフィク基地は、北極圏における米国の戦略拠点として重要な役割を担っています。近年、北極圏における資源開発や航路開拓への関心が高まる中、同基地の重要性はますます高まっています。
ピツフィク宇宙軍基地の風景
今回の司令官解任劇は、米国内の政治的対立が軍事戦略に影響を及ぼす可能性を示すものとして、国際社会の注目を集めています。「国際安全保障研究所」の佐藤健氏(仮名)は、「今回の解任は、米国の北極圏戦略に不確実性をもたらす可能性がある」と指摘します。また、デンマークとの関係悪化も懸念され、今後の北極圏の安全保障環境に大きな影響を与える可能性があります。
まとめ:今後の展開に注目
マイヤーズ司令官の解任は、米国の北極圏戦略における一つの転換点となる可能性があります。今後、新司令官のもとでピツフィク基地がどのような方向に進むのか、そしてデンマークとの関係がどのように変化していくのか、引き続き注目していく必要があります。