英国が12月12日、欧州連合(EU)離脱問題を主要争点に総選挙を実施する。議会の意見がまとまらず、「決められない政治」といわれる混迷に終止符を打てるのか。選挙に打って出たジョンソン英首相の「賭け」は成功するのか。EU側も固唾をのんで選挙の行方を注視しているが、離脱問題の早期決着には悲観的な見方も出ている。
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□英国 フィナンシャル・タイムズ
■ジョンソン氏勝利は不確実
ジョンソン英首相が総選挙の実施に打って出たのは、EU離脱をめぐる下院の膠着(こうちゃく)状態の打開のためだ。しかし、英メディアはジョンソン氏の戦略を「ギャンブル」とも伝える。国内では離脱の実現どころか、ジョンソン氏率いる与党・保守党の勝利さえも確実視されていないのが実情だ。
「ジョンソン首相が、EU離脱問題の停滞を終わらせるために行う『冬のギャンブル』は保守党の多くの議員を怖がらせた」
前倒し総選挙の実施が確定した2日後の11月2日。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は、政党支持率で優勢ながらも、選挙の行方に不安を隠せない保守党の議員の様子を報じた。
ジョンソン氏は総選挙によって下院で過半数の議席を獲得した上、EUと合意した離脱協定案を可決させ、来年1月末までにEUを離脱することを描く。同紙は「(離脱問題で)英国が分裂した状況を背景に行われる総選挙に、ジョンソン氏は全てを賭けている」とする一方、閣僚は選挙結果について「どうなるか分からないと認めている」と、保守党では勝利が楽観されていない状況を伝えた。
同紙は今回の総選挙の結果が予測しづらい要因として、4割の有権者が2017年の前回選挙で支持した政党とは別の政党に票を投じるとの世論調査の結果をあげた。その上でジョンソン氏が勝利するには、離脱を成功させて助けると、経済成長に取り残された地域で最大野党・労働党の支持者を説得し、取り込むことが重要だと強調した。