大阪・関西万博:オールジェンダートイレ導入で多様性への配慮と課題

大阪・関西万博会場では、来場者全体の多様性を尊重し、誰もが快適に利用できるよう、オールジェンダートイレが全体の4割に設置されています。SDGs(持続可能な開発目標)の推進、そしてLGBTQへの配慮を体現する取り組みとして注目されていますが、利用者の反応は様々で、今後の普及に向けた課題も浮き彫りになっています。

万博会場におけるオールジェンダートイレの設置状況

2021年の東京オリンピックを契機に普及が始まったオールジェンダートイレは、国立競技場や成田空港などにも設置されています。大阪・関西万博では、「ユニバーサルデザイン」を設計理念に掲げ、ジェンダー平等を含むSDGs達成を目指す場として、性的少数者にも配慮したオールジェンダートイレの導入を決定しました。

会場内45か所のトイレのうち18か所に、男女別トイレとは別に計108基のオールジェンダートイレが設置され、入り口には男女両方のピクトグラムが掲示されています。

alt 万博会場に設置されたオールジェンダートイレ。入り口には男女両方のピクトグラムが掲示されているalt 万博会場に設置されたオールジェンダートイレ。入り口には男女両方のピクトグラムが掲示されている

多様性への配慮と期待の声

性的少数者を支援するNPO法人「カラフルブランケッツ」(大阪市)の康純香理事長は、この取り組みを「誰もが安心して暮らせる社会を目指す上で素晴らしい」と歓迎しています。公共トイレの利用に困難を感じている性的少数者にとって、万博会場のような大規模イベントでの設置は大きな意義を持つと言えるでしょう。

利用者の声と課題

一方で、利用者からは戸惑いの声も聞かれます。女性の中には、女性用トイレの混雑を避けるために利用したいという肯定的な意見がある一方で、便座の状態から直前に異性が利用したことを想像してしまうことに抵抗を感じるという声も上がっています。

専門家の意見

東洋大学の高橋儀平名誉教授(ユニバーサルデザイン)は、「混雑時や子どもの付き添いを含め、誰もが利用できるという認識を広めることが重要」と指摘しています。性的少数者だけが利用するトイレというイメージを払拭し、真のユニバーサルデザインを実現するためには、万博協会による更なる周知徹底が必要と言えるでしょう。

まとめ:真の多様性実現に向けて

大阪・関西万博におけるオールジェンダートイレの導入は、多様性への配慮を示す重要な一歩です。しかし、真に全ての人にとって使いやすいトイレとなるためには、利用者への周知徹底、そして社会全体の意識改革が不可欠です。万博をきっかけに、誰もが安心して快適に利用できるトイレ環境の実現に向けて、更なる議論と取り組みが期待されます。