中国経済の現状:不動産不況と観光客誘致のジレンマ

中国経済の減速が顕著となる中、政府は観光客誘致に力を入れている。しかし、不動産バブルの崩壊や米中貿易摩擦の影響など、課題は山積している。本記事では、中国経済の現状と観光客誘致の取り組み、そしてその未来について解説する。

不動産不況の影:巨大リゾート「海花島」の現状

中国海南省儋州市にある巨大リゾート施設「海花島」は、かつて「中国のハワイ」となることを夢見て建設が進められていた。しかし、現地を訪れると、ゴーストタウンのような光景が広がっている。未完成の建物が点在し、観光客の姿はまばらだ。中国恒大集団の経営危機の影響を受け、工事は中断され、ガラス張りのショッピングモールは埃まみれになっている。地元住民も現状を諦めた様子で、「どこもかしこも未完成施設ばかり。客もほとんどおらず仕方がない」と語る。

海花島の未完成の施設海花島の未完成の施設

不動産不況が消費を冷やす「逆資産効果」

中国経済の減速は、不動産バブルの崩壊が大きな要因となっている。不動産価格の下落は消費を冷やす「逆資産効果」を生み出し、景気の冷え込みにつながっている。海南省三亜は、中国有数のビーチリゾート地であり、免税店で買い物ができることから多くの観光客が訪れていた。しかし、近年は観光客が減少し、地元のタクシー運転手も「稼ぎが以前より落ちた」と嘆いている。2024年の海南省の免税品の売上高は前年比で大幅に減少しており、買い物客数も減少している。

外国人観光客、特にロシア人観光客の増加

このような状況下で、中国政府は外国人観光客誘致に力を入れている。ビザ免除措置の拡大などを通じて、新型コロナウイルス感染症の影響で減少した観光客を呼び戻そうとしている。三亜の商業施設では、外国人観光客、特にロシア人観光客の増加が目立っている。バッグ販売店の店員は、「外国人は増えていて特にロシア人が多い」と指摘する。

三亜の免税店三亜の免税店

中国経済の未来:内憂外患の状況下で

2025年1~3月期の中国のGDP成長率は前年同期比5.4%増と、政府目標を上回ったものの、先行きは不透明だ。内需不振に加え、米中貿易摩擦の影響による輸出の悪化など、中国経済は「内憂外患」の状況にある。 経済評論家の山田太郎氏は、「中国経済の回復は、内需の動向に大きく左右されるだろう。政府の政策効果がどれほど現れるかが今後の鍵となる」と述べている。中国経済がどこまで持ちこたえられるかは、今後の内需の状況と政府の対応にかかっている。