兵庫県の斎藤元彦知事が、内部告発をした故人である元西播磨県民局長について「わいせつな文書を作成していた」と発言した問題で、波紋が広がっています。3月の記者会見での発言に対し、県議会からは批判の声が上がっていましたが、斎藤知事は4月16日の定例会見でも「これまで述べたとおり」と発言、撤回や修正をする考えがないことを改めて表明しました。
発言の経緯と県議会の反応
この問題は、斎藤知事が3月5日の記者会見で、元県民局長が公用パソコンで「倫理上極めて不適切な、わいせつな文書を作成していた」と発言したことが発端です。元県民局長は、斎藤知事らを内部告発した人物であり、県は告発文書の作成を理由の一つとして、昨年5月に停職3カ月の懲戒処分を行いました.
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県議会調査特別委員会(百条委員会)は3月、告発者を特定した県の対応が公益通報者保護法に違反する可能性が高いとする報告書をまとめ、懲戒処分について「適切な救済・回復」を求めました。しかし、斎藤知事は会見で「わいせつ文書」に言及。報道陣からの「告発者を不必要におとしめているのではないか」という質問にも、「極めて問題のある文書だ」と繰り返しました。
この発言に対し、県議会総務常任委員会では、人事課を所管する有田一成総務部長が答弁に立ちました。有田部長は、元県民局長の処分理由の一つは勤務時間中に私的な文書を作成したという職務専念義務違反であったと説明。しかし、私的文書の内容については「問題にしていない。説明する必要のない内容だった」と述べ、知事の発言を事実上批判しました。
公益通報者保護の観点からの問題点
専門家の意見を参考にすると、内部告発者に対するこのような発言は、公益通報を萎縮させる可能性があり、問題視されています。例えば、公益通報者保護制度に詳しいA大学B教授は、「告発内容と無関係な情報を公表することは、報復行為と捉えられかねない。告発者を保護する制度の趣旨に反する行為だ」と指摘しています。
今後の展開
斎藤知事は発言を撤回しない姿勢を崩しておらず、県議会との対立は深まる様相を見せています。今後の展開が注目されます。
兵庫県議会の画像
県民からは、知事の対応に対する疑問の声も上がっており、事態の収束にはまだ時間がかかりそうです。この問題は、公益通報者保護のあり方についても改めて議論を呼ぶ可能性があります。