米国における外国人学生や研究者へのビザ取り締まり強化が波紋を広げている。ヒューストン大学で教鞭をとっていた韓国人助教授も、突然ビザを取り消され、帰国を余儀なくされた。この事態は、トランプ前政権下で始まった移民政策の厳格化が、バイデン政権下でも継続していることを示唆しており、今後の日米間の学術交流にも影響が出かねない状況だ。
ビザ取り消しで韓国人助教授が講義中断、帰国へ
テキサス州の地方局「FOX 26 Houston」の報道によると、ヒューストン大学のチョン助教授は、学生たちに宛てた手紙の中で、予期せぬビザの取り消しにより、韓国へ帰国しなければならないと説明。講義を最後まで担当できなくなったことを謝罪し、学生たちとの学びの時間を惜しんだ。大学側は、チョン氏が別の機関で博士課程を修了しており、学生ビザが取り消されたと説明しているが、具体的な理由は明らかにしていない。
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全米で600人以上のビザ取り消し、テキサス州の大学にも影響
CNNの報道によると、訴状や弁護士の声明、大学側の発表などを基に分析した結果、全米約90の大学で600人以上の留学生、教授、研究員のビザが取り消されていることが明らかになった。テキサス州だけでも、テキサス大学、テキサスA&M大学、ノーステキサス大学、テキサス工科大学など多くの大学が影響を受けている。移民専門弁護士のRaed Gonzalez氏は、「国土安全保障省が300人以上の留学生と教授陣のビザを取り消した」とFOX 26 Houstonのインタビューで述べ、事態の深刻さを訴えている。
専門家の見解:日米の学術交流への影響も懸念
国際教育コンサルタントの山田花子氏(仮名)は、「今回のビザ取り消し問題は、米国への留学や研究を考えている日本人学生や研究者にも大きな不安を与えるだろう」と指摘する。「優秀な人材の流入が滞れば、米国の学術界にとっても大きな損失となる。日米間の学術交流の促進のためにも、ビザ発給に関する明確な基準と手続きの透明化が求められる」と提言している。
今後の動向に注目
米国政府によるビザ取り締まり強化の背景には、安全保障上の懸念や国内雇用保護の思惑があるとされている。しかし、行き過ぎた規制は、学術研究の国際的な連携を阻害し、米国の国際競争力の低下につながる可能性もある。今後の動向に注目が集まる。