国民民主・玉木代表「選択的夫婦別姓」導入に意欲、支持層から「裏切り」の声

28日、国民民主党の玉木雄一郎代表が記者会見で、選択的夫婦別姓制度の導入に前向きな姿勢を示したことが、党の支持者の間で大きな波紋を広げています。この発言は、国民民主党が掲げてきた政策の優先順位と、有権者の期待との乖離を示唆するものであり、その動向が注目されています。

玉木雄一郎代表の主張と「バランスの取れた」民法改正案

玉木代表は、選択的夫婦別姓の導入が「戸籍がなくなる」「家族制度が崩壊する」ものではないと強調し、国民民主党が国会に提出している民法改正案を「バランスが取れている」と自画自賛しました。しかし、この主張に対し、有権者からは厳しい声が上がっています。SNS上では「選択的夫婦別姓を導入したら“戸籍が無くなる”のではなく、“無くす足がかりになる”ということを理解していないので、浅慮というほかない」「旧姓の利用拡大で良い。変える必要のないものを変えようとする背景には、『何かある』と疑ってかかるべきだ」といった意見が散見され、制度導入の必要性自体に疑問を投げかける声が多数を占めています。

2024年11月に記者会見に臨む国民民主党の玉木雄一郎代表2024年11月に記者会見に臨む国民民主党の玉木雄一郎代表

支持率低下の背景:国民民主党の失速と有権者の不満

国民民主党は昨年の衆院選で「手取りアップ」を掲げ、若者や現役世代からの支持を大きく拡大し、28議席を獲得して躍進しました。しかし、高市早苗氏が総裁に選出され高市内閣が発足した後、産経新聞とFNNが25・26日に行った合同世論調査では、党の支持率が減少する結果となりました。政治部記者によると、この失速の主な要因は、高市氏からの連立入りの要請に対し、玉木代表が自民党との連立か野党連携か、明確な態度を示さなかったためと見られています。

物価高騰や実質賃金の低下など、国民の生活に直結する喫緊の課題が山積する中、多くの支持者が期待していたのは「手取りを増やす夏の実施が最優先」といった経済政策の推進でした。「消費税減税・ガソリン代値下げ」や「給料が上がる経済」など、若年層現役世代の生活改善を願う声が大きい中で、優先順位が高いとは言えないイデオロギー論争の最前線に玉木代表自らが立ったことは、支持者にとって「裏切り」と映っているようです。

連合からの牽制と「言いなり」批判

国民民主党の主要な支援団体である連合の芳野友子会長は、以前から「自民との連立入りは容認できない」と国民民主党に牽制の姿勢を示していました。さらに、選択的夫婦別姓を巡っては、自民党から離脱した公明党に対し「同じような考えなので一緒に」と期待を示しています。こうした背景もあり、玉木代表が今回のタイミングで選択的夫婦別姓の導入に意欲を示したことに対し、「連合の言いなり」といった揶揄の声も多く聞かれます。

課題山積の中での政策選択と「国民の声」との乖離

物価高騰、実質賃金低下、そして緊迫する国際情勢など、日本が直面する課題は「国難」とも言えるほど深刻です。このような状況下で、なぜ今、玉木代表は民法改正案を「自賛」してまで推し進めようとするのか、国民の間には疑問が広がっています。SNS上に溢れる「もう二度と信用することはない」といった声は、玉木代表と国民民主党が、最も大切にすべきだった「国民の声」から乖離し始めている危険な兆候と捉えられています。党が真に国民の信頼を取り戻すためには、有権者が求める政策の優先順位を再考し、明確なビジョンを示すことが急務と言えるでしょう。