大阪府豊中市にある暴力団「宅見組」の入江禎(ただし)組長の自宅が、土地と建物ともに差し押さえられたことが21日分かった。民事訴訟で多額の賠償命令を受け、大阪地裁が強制競売の手続きの開始を決めた。訴訟は入江組長側が上告受理を申し立てているが、判決確定後に支払いがなければ強制退去となる可能性がある。
入江組長は一時、特定抗争指定暴力団神戸山口組の副組長だったが、令和4年秋に離脱した。訴訟は神戸山口組時代の融資を巡る事案で、同組トップの井上邦雄組長も賠償責任が認められ、自宅が差し押さえられたことがすでに判明している。井上組長に次いで入江組長も活動拠点が流動的になる可能性があり、警察幹部は「警戒を続ける」としている。
昨年12月の大阪高裁判決によると、東京のコンサルティング会社は令和2年、10億円の融資を受ける条件として2億5千万円を宅見組側に送金。しかし融資は行われず、宅見組系組長(当時)は「うちの組織になんか文句あるんか」などと返金も拒否した。
1審京都地裁は宅見組側の一連の行為を暴力団の威力を利用した資金獲得行為と認定。暴力団対策法に基づく代表者責任として、井上、入江両組長らに連帯して約2億7千万円を賠償するよう命じた。高裁もこの1審判決を支持、両組長側はこれを不服として上告受理を申し立てている。
入江組長の自宅では4年5月、乗用車が突っ込む襲撃事件が発生。神戸山口組からの離脱後も、特定抗争指定暴力団山口組と対立状態にあるとされる。