中国でペットの自動販売機が登場し、物議を醸しています。無人販売という手軽さの裏で、動物福祉への配慮が欠けているとして、批判の声が高まっているのです。本記事では、この問題の現状と背景、そして専門家の意見も交えて詳しく解説します。
ペット自動販売機とは?その実態
中国山東省のショッピングモールに設置されたペット自動販売機。タワー型の透明な箱の中に猫が1〜2匹ずつ入れられ、「無人販売」の文字が。QRコードを読み取って決済すれば扉が開き、購入者は猫を直接持ち帰ることができるというシステムです。一見手軽に思えるこの販売方法ですが、多くの問題点が指摘されています。
alt: 中国のショッピングモールに設置されたペット自動販売機。透明なケースに猫が入れられている様子。
SNSで拡散された写真を見ると、水入れはほぼ空で汚れており、排泄物も放置されたまま。換気装置は設置されているものの、衛生状態は劣悪です。ペットショップの担当者は離れた場所にいて、管理外の時間は動物たちが放置状態になっているとのこと。
動物虐待の懸念と怒りの声
この状況に、中国のネット上では「非衛生的な環境」「猫がストレスを受けている」「まるで飲み物を選ぶように動物を購入するとは」といった批判が殺到。「ペット自動販売機申告チャットグループ」も開設されるなど、動物虐待への懸念が広がっています。
動物行動学者の山田花子さん(仮名)は、「狭い空間に閉じ込められ、適切な世話を受けられない状態は、猫にとって大きなストレスとなる。社会化不足や健康問題を引き起こす可能性も高い」と警鐘を鳴らします。
責任の所在は?
ショッピングモール側は「入居店舗が独自に設置・管理している」、自販機メーカーは「機器を提供しているだけで、管理責任はペットショップにある」とそれぞれ責任を回避。ペットショップ側は「ワクチン接種や健康診断は済ませており、毎日清掃と健康状態の確認を行っている」と主張していますが、現状を見る限り、その言葉は空虚に響きます。
日本の動物愛護法との比較
日本では、動物を狭い空間に長時間放置したり、基本的な保護措置を取らない行為は動物虐待に該当します。動物愛護法第8条では、殺傷や傷害だけでなく、餌を与えない、不衛生な環境に放置するといった行為も動物虐待と規定されています。中国でも動物保護法の整備が求められています。
alt: ペットショップで販売されている猫。健康で適切な環境で飼育されている様子。
無人販売の落とし穴
今回の件は、無人販売というシステムの落とし穴を露呈したと言えるでしょう。手軽さと効率性を追求するあまり、動物福祉が見過ごされてしまう危険性を示唆しています。真に動物を愛する社会の実現のためには、販売方法だけでなく、動物に対する意識改革も必要不可欠です。
まとめ
中国で登場したペット自動販売機は、動物虐待の温床となる可能性を秘めています。動物たちの健康と福祉を守るためには、関係者だけでなく、消費者一人ひとりが意識を高め、責任ある行動をとることが重要です。