「安全あっての生活インフラ」 豪雨で被災のコンビニ、地元の期待と理解が支えた復旧

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 10月の台風19号と後の豪雨災害から約1カ月。被災地で休業を余儀なくされたコンビニエンスストアも営業を再開させている。「現代の生活インフラ」として欠かせない存在となったコンビニ。復旧までの道筋をたどりながら、社会的役割と安全のバランスについて関係者の思いを取材した。(佐久間修志)

 「いらっしゃいませ」。快活な声とキャンペーン商品をアピールする垂れ幕が来店客を出迎える。出勤前の会社員や地元高校生らでにぎわう福島県相馬市のローソン相馬駅前店は先月31日、浸水被害から6日ぶりの営業再開を果たした。オーナーの桃井英智は「安全あっての生活インフラだと痛感した」と話す。

 宇多川と小泉川という2つの河川が市内を横切る相馬市は、台風と豪雨で市内の広範囲が浸水被害に見舞われた。被災した家屋などは約2400棟。同店も台風19号では1日で営業再開したが、25日の豪雨では店内に水が押し寄せ、水深が50センチほどに達した。

 豪雨翌日の26日、従業員が泥を店外にかきだしたが、「在庫を含めた商品の4~5割がだめになった」(ローソン福島支店)ほか、レジや商品を発注するシステムが作動しなくなった。本部からは復旧まで5日間を要すると告げられた。

 「5日間も休業したら、お客さんは戻るのだろうか…」。桃井から店を任される店長の高城凌は当時の不安を振り返る。

 「安全第一に休業判断をしてほしい」。ローソン本部は台風などを前にオーナーへ伝えた。行政の避難勧告などに応じることも徹底され、台風当日は約2千店舗が臨時休業。後に約10店舗を長期休業とした。

 安全重視は東日本大震災からの教訓だ。震災で迅速な復旧が耳目を集めたコンビニは「災害に強い生活インフラ」とみられるようになったが、東北沿岸部の店舗が多かったローソンは津波で命を落とした関係者も少なくなかった。

 一方で地域の生活インフラを担うべく、復旧には相応の人員を割くことも決めていた。福島支店エリアに本部や他エリアから33人が応援。相馬駅前店にも26日から4人が派遣され、商品入れ替えや店舗の清掃作業を急ピッチで進めた。

 営業再開の31日未明、高城は従業員とおにぎりなどを積んだ最初のトラックを出迎えた。「大変だったね」。普段は無口な運転手が商品を降ろしながら声をかけた。早速、近所の女性が来店。「待ってましたよ」と言って、おにぎりをレジに置いた。

 11月中旬、客足は休業前の約8割まで回復した。

 桃井は「コンビニに対する地域の期待は高いと感じている」と話す。

 豪雨当日の夜、住民約20人が水をかき分けて青い看板をくぐった。「営業している安心感があったのだろう」と桃井。高城がタオルや温かいお茶、おにぎりを差し出すと、住民たちは「いいの?」と笑みを浮かべ、翌日は泥を一緒にかき出してくれた。

 休業中も店をのぞく客が後を絶たない。高城は「そのたびに帰ってもらって申し訳ない」と話すが、需要の裏返しでもある。

 一方、迅速な復旧は「被災した実家の理解もあってできた」(高城)側面もある。従業員のシフト調整も必要だった。桃井は「長年、相馬に住んだが、これほどの水害はなかった。気を引き締めたい」と今後を見据える。

 「ただ…」。こうも付け加えた。「休業中、なぜ店を開けないのかと聞かれたが、『安全のため』と説明すると、みんな納得していた。それが(震災被災地でもある)相馬なのかもしれない」=敬称略

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