ニューヨーク(CNN) 米アマゾンが一部商品に関税による追加コストを表示する案を検討していると伝わり、トランプ米大統領は29日午前、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏に電話をかけて同社を強くけん制した。
ホワイトハウス高官2人がCNNに語ったところによると、トランプ氏はアマゾンがサイト上で価格の横に関税コストを表示する案を検討中だとの報道に抗議するため、ベゾス氏に電話をかけた。この後、トランプ氏は「良い電話だった」と振り返った。
トランプ氏は記者団に対し「ベゾス氏はとても感じが良く、素晴らしかった」とコメント。「問題をすぐに解決してくれた。良い男だ」としている。
アマゾンが近く「商品の定額のすぐ横に関税による上昇分を表示する」方針だとの情報については、米パンチボウルニュースが最初に報じた。トランプ氏の関税が商品コストにどのような影響を与えているか、米国の消費者に直接示すものとなる可能性がある。
トランプ氏は中国からの輸入品に145%、他のすべての国に対して最低10%の関税を課している。
政権高官の一人はトランプ氏に電話をかけて報道について知らせ、トランプ氏は直後にベゾス氏に電話を入れた。
匿名を条件に取材に応じた当局者の一人はCNNに対し、「もちろん大統領は立腹していた。数十億ドルの企業がなぜコストを消費者に転嫁する必要があるのか」と問いかけた。
ホワイトハウスのレビット報道官は29日の会見で、この動きを「敵対的かつ政治的な行為」と呼び、先にトランプ氏と協議したことを明らかにした。
アマゾンの広報担当者はCNNへの声明で、「アマゾンのメインサイトに関してそのような検討をしたことは一度もなく、アマゾンのいかなる関連サイトでも実施されていない」と声明で述べた。
ただ、20ドル以下の商品を扱うスピンオフサイト「ホール」で「特定商品の輸入手数料を記載する案」を検討していたが、実施には至らなかったという。広報担当者は「これは一度も承認されておらず、今後実施されることもない」と明らかにした。