障害年金不支給、2024年度は3万人超えで過去最多! 制度の信頼性は?

2024年度に国の障害年金の申請が却下された人が、前年度の2倍以上に急増し、約3万人に達したことが分かりました。これは日本年金機構の内部資料から共同通信が28日に明らかにしたもので、統計開始以来の最多記録となります。審査を受けた約6人に1人が不支給という結果で、その割合も前年度の約2倍に増加し、過去最大となる見通しです。

障害年金不支給急増の背景とは?

altalt日本年金機構の障害年金センター。ここで障害年金の審査が行われています。

判定基準に変更はないものの、この急増の要因として、日本年金機構の関係者複数名が、担当部署のトップ交代を指摘しています。2023年10月に就任した新たなセンター長が、申請書類の要件を厳格化したことが、不支給判定の増加に繋がったという見方です。職員が判定医に低い等級もしくは「等級非該当」とする提案が増加したとの証言もあります。

審査厳格化の影響と制度への疑問

障害年金は、日本年金機構の障害年金センターに提出された診断書などの申請書類をもとに、職員による事前審査が行われます。その後、委託を受けた医師が職員とのやり取りを経て最終的な判定を下します。

今回の不支給決定の急増は、センター長による審査の厳格化が影響している可能性が指摘されています。職員への聞き取り調査では、新たなセンター長就任後、書類審査のハードルが上がったという声が上がっています。 これにより、本来支給対象となるべき申請者も不支給と判定されている可能性が懸念されます。

センター長の主張と制度の信頼性

センター長自身は、「審査を厳しくするように指示したことはない」と取材に答えています。しかし、現場職員の証言とは食い違っており、真相は不明瞭です。

今回の事態は、障害年金制度の信頼性を揺るがす可能性があります。判定基準に変更がないにも関わらず、担当者の交代によって不支給判定が急増するということは、属人的な要素で判断が左右されている可能性を示唆しています。公平性や透明性を確保するため、制度の運用方法を再検討する必要があるかもしれません。

専門家の見解

生活経済ジャーナリストの小林美香氏は、「障害年金制度は、障害を持つ人々の生活を支える重要なセーフティネットです。審査の厳格化によって、本当に支援を必要とする人々が適切なサポートを受けられなくなることは避けなければなりません。制度の透明性を高め、公平な審査が行われるよう、関係機関は早急な対応が必要です。」と述べています。

今後の展望

障害年金制度は、多くの障害を持つ人々にとって生活の支えとなる重要な制度です。今回の不支給決定急増の背景には、どのような要因が隠されているのか、今後更なる調査が必要です。制度の信頼性を維持するためにも、透明性の確保と公平な審査の実現が求められています。