国税庁は7月1日、2025(令和7)年分の路線価を公開した。標準宅地の全国平均は前年比2.7%の上昇で、2010年以降で最大の上昇率を記録した。
【画像】知っておいた方がいい、これからの土地の価値の「3極化」とは?
路線価とは、道路に面する土地1平方メートルあたりの価格で、相続税や贈与税など税金算出のもとになる。一方、公示地価とは一般的な土地売買での指標や公共事業の取得価格の基準となるもので、毎年3月下旬に発表される。
■白馬が2年連続で上昇率は全国トップ
今回、発表された路線価を見ると、東京都の上昇率がとりわけ高く、標準宅地の上昇率は同8.1%。
長野県の白馬や北海道の富良野などインバウンド需要の高い観光地の躍進も目立った。このほか、大都市圏や再開発エリア、半導体企業が進出したエリアなどでも大幅な上昇が見られる。
■観光地の明暗を分けるのは「客観力」
2013年の「アベノミクス」、「黒田バズーカ(=当時の黒田東彦日銀総裁が打ち出した、大規模な金融緩和政策)」以降、地価はほぼ一貫して上昇基調にあり、ここ数年はその速度を上げている。
近年の地価上昇に大きく寄与しているのは、インバウンドの回復だ。日本政府観光局によれば、2024年の訪日外客数は年間3600万人を突破(推計)し、過去最多を記録。全国で上昇率が最も高かった白馬、富良野、浅草、高山はいずれもインバウンド需要が高いエリアだ。
海外投資家から見た日本の不動産の割安感が、こうした急激な価格上昇の根幹にある。別荘需要だけでなく、インバウンドを見込んだホテルや民泊事業への投資も活発になっている。海外投資家の正確な動向を示すデータはないものの、相当な海外マネーが流入しているものと見られる。
一方で、群馬や山梨、和歌山など、33年連続で路線価が下落し続けているエリアもある。
地価はこれからも、維持・向上する一部のエリアとなだらかに下落を続ける大半のエリア、そして大きく下落し、限りなく無価値になっていく「エリアの三極化」が進行していくことになるだろう。